ホーム > インフォメーション > フルート首席奏者 神田勇哉が語る 2月定期演奏会の聴きどころ「マエストロ チョン・ミョンフンによる『田園』『春の祭典』」 」

インフォメーション

2024年2月16日(金)

| マエストロ チョン・ミョンフンとの共演について



©上野隆文

「マエストロチョンは指揮者であると同時にピアニストでもあるので、オーケストラを鍵盤のように掌握しています。実際に吹いていて、オーケストラの様々な楽器のバランスを、マエストロ自身がピアノを弾いているかのように緻密に整理している感覚があります。Tutti(全奏)で一斉にじゃーんと各楽器が音を出したときにも、すべての楽器の音が聞こえます。
フルートはピアニストの手でいうと右手の存在です。ピッコロは『田園』の第4楽章の稲光のシーンで一瞬使われますが効果音的な扱いで、基本的には全体的な和声づけではフルートが一番高いところを担います。『田園』も『春の祭典』も音が厚い曲ですから、マエストロの右手となって高い音域で和声を担っていきたいです」。



| 『田園』と『春の祭典』の共通点とは


「2曲の共通点は〈自然〉ですかね。『田園』は第3楽章で顕著に表れますが、〈田舎における人間生活〉というような曲です。
『春の祭典』は乙女を神様に捧げる儀式がモチーフですが、極端に言えば人間というよりも猿の世界で、地球が誕生した46億年の歩みを彷彿とさせます。
『田園』が人間と自然との関わりを描いているとすると、『春の祭典』はプリミティブな世界での猿と自然です。歴史絵巻として見るなら、『田園』から過去に遡って『春の祭典』に続いていくという認識でみたら面白いかもしれません」。




|「田舎」


「ベートーヴェンの交響曲第6番に副題をつけるとしたら、『田園』よりも『田舎』の方がぴったりだと思っています。ウィーン郊外のハイリゲンシュタットにあるベートーヴェンの家に行ったことがあります。この森の中をベートーヴェンは散歩していたんだなあと思うと感慨深かったです。ウィーンは都会ですが、当時のハイリゲンシュタットはドがつくド田舎だったと思います。『田園』第2楽章でフルートは鳥の声を担当しますので、ベートーヴェンが散歩しながら見たであろう森の風景を思い浮かべながら、心楽しく聞いていただけたらと思います」。



|『春の祭典』のクレイジーな響き



ⓒ上野隆文

「『春の祭典』は生命の起源や原始の世界みたいなものをイメージしますね。どこからともなく聞こえてくるような音色をフルートは必要とされることが多いです。フルートパートとしては、第二部二曲目の《乙女の神秘的な輪》でアルト・フルートに大事なソロがあります。

 『春の祭典』は初演時に音楽と振り付けともにセンセーショナルで、客席で暴動が起こったという話が有名ですね。音楽の面でいうと、初演当時の楽器では難しい音域や技術が沢山使われていたせいもあったと思います。
当時の楽器に近いものを使用したオーケストラの『春の祭典』演奏を聴いたことがあるのですが、和音が不揃いで音程が完全には合っていない音なのだけれども、《なんてクレイジーなサウンドなんだ》と感動した覚えがあります。
今の楽器は音の鳴りが均質的ですが、昔の楽器は音程によって音色が変わるので、いろんな音色が大きな塊のように飛んできました。私たちは現代の楽器を使うモダンオーケストラですが、同じようにこの曲のクレイジーさ、異常なエネルギーを鮮明にお伝えできればと思います。

 世界最古の楽器はおそらく打楽器だと思いますが、材質の問題なのか完全な状態では現存していません。現物が現代にまで残っている楽器での最古の例は、洞窟から発見された骨の笛、要はフルートですね。たしか4万年前のマンモスの牙のフルートだったかな。管や石や筒に息を吹き入れる楽器というのは、打楽器と同じく非常に原始的なのでしょうか。人々の本能に訴えかけるような、DNAに直撃する演奏ができたらと思います」。



| シーンへの理解が必要なバレエ音楽の演奏


「『春の祭典』は文句なしにかっこいい曲ですが、バレエ音楽であることを忘れてはいけません。オペラやバレエ音楽を演奏するときには、バランスやタイミングを合わせることはもちろん大事ですが、音楽が流れる場面への理解が特に必要となってきます。東京フィルはオペラやバレエを伝統的に演奏してきた経験があるので、どういうシーンなのかを聴きとって音にする力があると思います。
今回バレエはありませんが、オーケストラによる場面毎の音色の変化をお楽しみいただきたいです」。






2月定期演奏会 

チケットを購入
2月22日[木]19:00開演
サントリーホール
チケットを購入
2月25日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール
チケットを購入
2月27日[火]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール

指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)

楽曲解説(PDF)


ベートーヴェン/交響曲第6番『田園』
ストラヴィンスキー/バレエ音楽『春の祭典』


特設ページはこちら


1回券料金

  SS席 S席 A席 B席 C席
チケット料金

¥15,000

¥10,000
(\9,000)

¥8,500
(\7,650)

¥7,000
(\6,300)

¥5,500
(\4,950)

※( )…東京フィルフレンズ、WEB優先発売価格(SS席は対象外)


主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援))| 独立行政法人日本芸術文化振興会(2/22公演)
協力:Bunkamura(2/25公演)

公演カレンダー

東京フィルWEBチケットサービス

お電話でのチケットお申し込みは「03-5353-9522」営業時間:10:00~18:00 定休日:土・日・祝