ホーム > インフォメーション > 予想もつかない高みへと私たちをつれてゆく “魔法のような”ミハイル・プレトニョフとの特別な関係

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2018年1月9日(火)



第二ヴァイオリン首席奏者 戸上眞里
©上野隆文

 2月の定期演奏会は、特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフが北欧音楽プログラムで登場。10月の来日では、プレトニョフならではの情緒纏綿とした歌の世界、ロシアのおとぎ話の世界を描いてくれました。指揮台のすぐそばに座り、いつも間近でマエストロたちと向き合う第2ヴァイオリン首席奏者・戸上眞里がプレトニョフとの共演について語ります。


「シューベルトが大好きだと気付かされた」
マエストロ・プレトニョフとの共演


2017年10月オペラシティ定期より
©上野隆文

 「マエストロ・プレトニョフとの共演は、そのどれもが素晴らしく、新たな発見ばかりで楽しくて仕方ありません。中でもこれまでロシアの曲が多く、10月のシューベルトの交響曲(東京オペラシティ定期)はどんな風になるのか想像すらできませんでした。ですが、リハーサル初日、最初にタクトがおりた瞬間、鳥肌がたちましたし、コンサートではかつてこんな未完成交響曲を弾いたことも聴いたこともないくらい美しく仕上がり、5番はもしかしたら私にとって一番好きな交響曲になったかもしれません。dur(長調)の音楽がこんなに美しく哀しく泣けるものなのかと仰天し、私はシューベルトのことが大好きだったんだと悟ることができました。


静かで、自然で、でも大きな力を放つプレトニョフのタクト


2017年10月東京オペラシティ定期リハーサルにて。 
©上野隆文

 マエストロはリハーサル開始の直前にホールに到着されます。ゆっくり歩いて入っていらして、「オッハヨーゴザイマス!」と仰います。日本語の発音もとてもお上手なんです。一瞬にして皆の力が抜けてしまいます。余談ですが、マエストロが色んな日本語を私達に披露されますが、日本人に近い発音で驚きます。お耳が良過ぎるのだと思います。休憩明けは、口をモゴモゴ動かし、お菓子の残りが洋服に残っていたりすることもしばしば。釣りに行かれた次の日には、顔は日焼けで真っ赤!など、思わず笑ってしまうエピソードがたくさんあります。本当にチャーミングで魅力的な方です。
 指揮を始めるときにも、何の力みもなく、いつもどおりの様子で「すーっ」と振り始めるので、オーケストラも本当に良い意味でリラックスして演奏が始まります。リハーサルは、ほとんど止めることなく、ゆったり座ったまま、大きくないアクションで、小さな声で、淡々と進みます。マエストロの指揮は何が凄いのか‥わからない、というのが正直な気持ちです。あんなに静かで自然で力の抜けたタクトで、大きな力を放ち力強い音楽になるのですから。でも、どんな音が欲しいのか、何をおっしゃりたいかは、指揮を見ているとはっきりとわかるのです。
 2月の演奏会はシベリウスとグリーグです。『フィンランディア』や『ペレアスとメリザンド』の物悲しさをマエストロはどのように表現させるのだろう、私達の想像のできないところへ導いてくださるのだろうと思います。交響曲も有名な2番ではなく7番。何度も言うように予想、想像ができないのです。いつも、いつのまにかマエストロの魔法にかかってしまう。簡単に言えばそれしかありません。だからこそ本当に楽しみなのです。マエストロ・チョン・ミョンフンは「音楽家の目標はシンプルさに到達すること。シンプルさの中に全てが込められていなければならない」と仰っています。マエストロ・プレトニョフの音楽はこれなんだと思います。

東京フィルの3人のマエストロたち


2017年10月東京オペラシティ定期
カーテンコールにて。
 ©上野隆文

 東京フィルのマエストロたちはどのマエストロも、彼らが振るタクトで何をおっしゃりたいかすべて手に取るようにわかります。大きな動きはなくとも、このような音を出せばいいのだ。と確信持って音を出せるのがマエストロ・プレトニョフ。その出した音に対して、「もっとこうして!」という要求はあまりされません。対して、マエストロ・チョンは、私達に任せてくださる部分が多い分、もっともっと!と、納得がいくまで、ふさわしい音になるまで何度もリハーサルを重ねます。こんな風なコンサートになるだろうな。と予想ができ、その通り素晴らしいものになります。私達のことをとても信頼してくださっているのがとても伝わります。
 マエストロ・バッティストーニも同じく、こう来るだろうなと予想ができます。「バッティー!」と皆から愛され、コンサートの際には、溢れ出るエネルギーとパッションに包まれ、物凄い演奏になります。ただ、マエストロ・プレトニョフは、どんな風になるんだろうと予想ができません。
 こんなに素晴らしい3人のマエストロと定期的にコンサートができる東京フィルに居られることを心から幸せに思います。マエストロ達のおかげで私達は確実に上へ上へと向かうのです」。



特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフ指揮 2018年2月定期演奏会

◇プレトニョフ&牛田智大の北欧紀行

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2月23日[金]19:00開演(終演予定21:00)
サントリーホール
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2月25日[日]15:00開演(終演予定17:00)
Bunkamuraオーチャードホール
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2月26日[月]19:00開演(終演予定21:00)
東京オペラシティ コンサートホール

指揮:ミハイル・プレトニョフ(東京フィル特別客演指揮者)

ピアノ:牛田智大*

シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲*
シベリウス/組曲『ペレアスとメリザンド』
シベリウス/交響曲第7番


※終演時刻は予定のため、変動することがございます。予めご了承ください。


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