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2018年6月18日(月)
クラリネット首席 アレッサンドロ・べヴェラリ ©上野隆文
6/7月の定期演奏会は、オーケストラのきらめくサウンドを存分にお楽しみいただけるアメリカ&イタリアそしてフランス作品プログラム。両公演に出演予定のクラリネット首席奏者、アレッサンドロ・べヴェラリがききどころを語ります。
<2018年6/7月の公演情報はこちら。>
クラリネット奏者にとって非常に重要な作品
ステージリハーサルでのひとこま
©上野隆文
「ラプソディ・イン・ブルー」と『ローマの松』。6月の演奏会で演奏するこの2曲は、クラリネット奏者にとって非常に重要な作品です。この2つを演奏できることをとてもうれしく思っています。この2曲はほとんど同じ年代、1924年に作曲されたにもかかわらず、音楽的な語法もメッセージも全く異なっています。
「ラプソディ・イン・ブルー」の冒頭には、クラリネットのソロとしては最も有名なソロがあります。なぜこんなに有名なのか、私はよく知りませんが誰もがこの冒頭のクラリネットのメロディを知っています。ウディ・アレンの映画『マンハッタン』やディズニーの『ファンタジア2000』のおかげかもしれません。ジャズの語法で書かれたクラシック音楽としては完璧な融合が実現されていて、私はこの曲が大好きです。もともとピアノとビッグバンドのための作品として着想されたので、この2つの音楽スタイルがミックスされた形になっています。
オーケストラで演奏するのは今度が初めてですが、故郷のイタリア・ヴェローナの吹奏楽団で演奏したことはあります。そのとき私はオープニングのソロを美しい修道院のバルコニーの上で楽団を下に見下ろしながら吹いたのです! とても効果的で、面白い経験でした。
『ローマの松』については、私は1年間ローマで学んでいましたので、この曲を聴くとローマの美しい街の思い出が蘇ります。北イタリア出身の私は、ローマやイタリア南部の海沿いで見られるような特別な種類の“自生の松”にいつも魅了されていました。クラリネット・ソロは3楽章、「ジャニコロの松」に登場します。レスピーギはここで“ジャニコロの丘”の夜の情景を描きました。クラリネットは静寂の中から、美しく、魔法のようなピアニッシモで音楽を奏で始め、続いて、あざやかで幅の広い音の跳躍で、夢見るような雰囲気を描きます。
このコンサートでは、それぞれの作曲家のオーケストレーションを楽しんでいただくことができるでしょう。作曲家たちは、どうすれば異なる楽器の音を組み合わせて特別な空気を生み出せるかを知っていました。レスピーギは生命の音、自然の音、鳥の声、屋外で遊ぶ子供たちの遊戯の歌…、そういった生命の音を楽譜に落とし込みました。
オーケストラを聴く時の最も素晴らしい経験は
さまざまな楽器がともに響き合うオーケストラ
©上野隆文
お客様には、オーケストラの楽器が合わさったとき、どんな音色がするかを楽しんでいただきたいです。それぞれの楽器の音だけでなく、たくさんの楽器が一つに合わさったときの“新しい音色”を楽しんでいただきたいです。それこそが、オーケストラを聴くときに最もすばらしい経験なのですから。
東京フィルとのコンサートに皆さん、どうぞお越しください。私は7月、ロレンツォ・ヴィオッティが指揮する定期演奏会、フレンチ・プログラムと新国立劇場『トスカ』にも出演予定です!「きてください!」
(2018年5月のインタビューより)
レジデント・コンダクター渡邊一正指揮 6月定期演奏会 <音の旅>
6月24日[日]15:00開演
Bunkamuraオーチャードホール
ピアノ:萩原 麻未*(第65回ジュネーヴ国際コンクール 第1位)
バーンスタイン/『キャンディード』序曲
ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー*
レスピーギ/リュートのための古い歌と舞曲 第3集
レスピーギ/交響詩『ローマの松』
◇2018-19シーズン定期演奏会ラインナップはこちら。
俊英ロレンツォ・ヴィオッティ指揮 7月定期 <オール・フレンチ・プログラム>
7月18日[水]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
7月19日[木]19:00開演
サントリーホール 大ホール
指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ
ピアノ:小山 実稚恵*
ラヴェル/道化師の朝の歌
ラヴェル/ピアノ協奏曲 ト長調*
ドビュッシー/牧神の午後ヘの前奏曲
ドビュッシー/交響詩『海』(管弦楽のための交響的素描)