2020年5月20日(水)
ヴァイオリン奏者 二宮純(1984年入団)は、2020年4月末をもって定年退職いたしました。35年間の長きにわたり、お疲れ様でした。東京フィル定期での最後の出演は、チョン・ミョンフン指揮2月定期演奏会『カルメン』(演奏会形式)でした。今後の更なる活躍をお祈りいたします。
4月末日を持ちまして東京フィルを退職いたしました。
Ⓒ三好英輔
最後の仕事は3月9日にオペラシティで行われた題名のない音楽会の収録でした。
その収録も既に無観客で行われましたが、その後のコロナウイルス感染拡大の為に全ての仕事がキャンセルになり何もしないままの退団。
思わぬ形での退団となってしまいました。
35年の在団の中で様々なマエストロやソリストとの共演を重ねましたが一つ一つが大切な思い出となっています。
合併後は特にマエストロ チョン・ミョンフンと重ねたコンサートの積み重ねが演奏家として大切な大切な財産となっています。
最初の仕事のリハーサル、マエストロが部屋に入ってきただけで空気が変わったあの感触は忘れられません。
最初の何年かはとにかくマエストロの要求が厳しく深く、必死に食らいついて行きました。
ここ何年かマエストロが私たちに優しい表情を向けてくださいます、共に歩んだ日々の重さと成果を肌で感じています。
その他にも沢山の思い出があります。
オーディションの日に練習場から聴こえてきたマーラーの第五交響曲のアダージェットの荘厳な響き。
夏の文化庁のバレエ公演で回った九州の暑さ。
真冬の北海道の雪景色。
などなど思い出して語れば切りがありません。
今オーケストラは大変な苦境に面していますが音楽を愛する人々がいらっしゃる限りオーケストラは生き抜いて行けるものと思っています。
私も負けずにまだまだ音楽の道に進んで行こうとおもっております。
二宮 純