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2015年7月11日(土)

ピアニスト・反田恭平インタビュー | 9月定期演奏会



写真提供:日本コロムビア

この秋の目玉公演として開催が待たれる、アンドレア・バッティストーニ指揮9月定期演奏会。その公演の一つ、東京オペラシティ定期シリーズにソリストとして登場する反田恭平は、あのラフマニノフも学んだロシア最高峰の音楽学校であるモスクワ音楽院で現在研鑽を積む20歳の俊英。
 今年5月、イタリアのチッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクールで堂々の優勝を果たし、現在、国内外において最も注目されるピアニストの一人です。





――最近の反田さんの活動を教えてください。


  20代の学生はまだ得意な作曲家、曲を断定出来ることはできず、今、この20代が伸び代が出来る一番大事な時期だと思っております。今は満遍なく色々な文化、作曲家と触れ合うことが何より大事で、その結果、50代 60代で奏者と共感できる作曲家に出逢え、断定できるようになるのかもしれません。私は今、色々なレパートリーを増やし、一歩でも芸術家に近づける様に武者修行の旅をしています。幸いにも運が良く、人生の道程で出逢えた色々な方々に支えて頂き、今日も演奏活動やCDをリリースする事が出来ています。支えて下さっている方々に恩返しで演奏をするのもそうですが、"来て下さるお客様一人一人に演奏し、将来の音楽界に少しでも貢献をする事" が私の使命だと思っています。

ロシアについて


聖ワシリイ大聖堂(首都モスクワ)

 ロシアという国は果てしないエネルギーと豊かな自然があります。首都モスクワに住んでいるのですが、演奏会でサンクト=ペテルブルクにも行きました。全く違う風景、空気、人柄。全てに感動しました。

 現在、私が夢中になっている事があります。バレエです。恥ずかしながらロシアに来るまではバレエを観たことが無く、性格上食わず嫌いならぬ、観もしないで過ごしていました。とある日に現地の友達とボリショイ劇場で本家「白鳥の湖」を鑑賞しましたが、あまりの美しさと迫力に感激と衝撃を覚えました。舞台がまるで鍵盤の様に見えてきて、役1人1人が音に感じ、その音は紛れもなくロシアの音でした。帰ってすぐピアノの鍵盤に向かい、弾く指を観察して、いかにバレエの様に指が機能するかまでも考察した程です。案の定、私には無かった音が出始めました。それは本定期演奏会で弾かせていただくラフマニノフのパガニーニ狂詩曲の第18変奏曲で試みたいと思います。



――世界トップクラスのモスクワ音楽院。もちろん練習室から聞こえてくる音もトップクラスだと思いますが、設備面でも充実しているのでしょうか? 反田さんにとって、実技以外で一番魅力的な授業は何ですか?



モスクワ音楽院のチャイコフスキー像

  私は普段(毎日)は練習をしません。 練習が嫌いと言うことでもありません。好きな時間(とき)に好きなだけ練習をするのです。そうやって私は育ってきましたが、モスクワ音楽院の寮ではその様な事では決して上手くいきません。練習室は上級生に取られ、いい部屋(鍵盤とペダルが機能するアップライトピアノ)からドンドン無くなっていきます。上級生は優先的に練習室を取れるのです。 そうして残った練習室のピアノはもちろん、ピアノの弦が40本程切れていたり、ペダルが折れていたり、鍵盤が下がらなかったり、また時にはペダルがあるピアノですがペダルを踏むだけで鍵盤が上がったり下がったりする意味の分からないピアノもあります。イメージトレーニングは、ほぼ毎日欠かしていません。この様な環境下においてイメージトレーニングは必要不可欠なのです。私は基本的に新曲を譜読みする時は大体ベッドの上で行います。 練習室でピアノを弾いて譜読みをしても、練習室が変わる度に音が違って聴こえたりするので(酷い音程だから)、私はベッドで譜読みをしています。飛行機内でもしますね。実技以外の授業、どれも面白いですが私生活ほどは刺激が無いです。



――ロシア語を話すようになり、自分自身ピアノを弾くにあたり変化した事はありますか?


 3ヶ月程経った12月の雪の日。その頃はロシア語で実技のレッスンを受けていました。 レッスンで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾いているとき、「ロシア人はここをこういう風に弾くんだよ!」 と1楽章の第2主題を先生が弾いて下さり、その時でした。 初めてピアノの旋律が言葉に聴こえ目頭が熱くなりました。 たった一つの旋律が先生の手に掛かると言葉になってしまいました。あの体験は生涯忘れないと思います。ある域に達した方は、弾くのではなく"音で語る"のだということを実感させられました。



――9月の定期演奏会に向けて、メッセージを。


  今回の定期演奏会に来られる方で、ロシアに行ったことがある方はそういないのではないでしょうか。 ロシアという泥臭くも甘い国を私達の演奏で感じて頂けたら幸いです。今回は異例な演奏会かと思います。 天才イタリア人指揮者、伝説のグランド・ピアノ、そして信頼出来る日本を代表するオーケストラ。この御三方と共に創るラフマニノフのパガニーニ狂詩曲は格別だと確信しております。皆様にとって忘れられない一夜にしたいと心から願っております。では、会場でお会いしましょう!



反田恭平より




反田恭平プロフィール



写真提供:日本コロムビア

1994年生まれ。2012年第81回日本音楽コンクールで高校生では1年ぶりに優勝し、あわせて聴衆賞を受賞。2015年5月チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール(イタリア)古典派部門で優勝。
2014年チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に日本人初の最高得点で入学し、現在は桐朋学園ソリストデュプロマコースにもダブルで在籍。すでに、デビュー前にもかかわらず、9月にはオーケストラの定期公演にも大抜擢される等今もっとも注目を集めている期待の新人。

使用ピアノはかのホロヴィッツが愛用したという銘機、ニューヨーク・スタインウェイCD75。

〈オフィシャルHP〉http://soritakyohei.club/



新時代の幕開けを告げる、二人の天才。

9月10日[木]19:00開演(18:30開場)
サントリーホール

指揮: アンドレア・バッティストーニ


ヴェルディ/歌劇『運命の力』序曲
ラフマニノフ(レスピーギ編)/5つの絵画的練習曲
ムソルグスキー(ラヴェル編)/展覧会の絵



9月11日[金]19:00開演(18:30開場)
東京オペラシティコンサートホール

指揮: アンドレア・バッティストーニ
ピアノ:反田 恭平*

ヴェルディ/歌劇『運命の力』序曲
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲 *
ムソルグスキー(ラヴェル編)/展覧会の絵


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