コンサート詳細情報
第93回東京オペラシティ定期シリーズ 公演中止
指揮: ミハイル・プレトニョフ
語り: 石丸 幹二
ソールヴェイ(ソプラノ): ベリト・ゾルセット
ペール・ギュント(バリトン): 大久保 光哉
アニトラ(メゾ・ソプラノ): 富岡 明子
合唱: 新国立劇場合唱団
グリーグ/劇付随音楽『ペール・ギュント』全曲<字幕付>
2015年4月22日(水)19:00開演(18:30開場)
東京オペラシティ コンサートホール 座席表座席からの見え方
指揮:ミハイル・プレトニョフ
語り:石丸 幹二
ソールヴェイ(ソプラノ):ベリト・ゾルセット
ペール・ギュント(バリトン):大久保 光哉
アニトラ(メゾ・ソプラノ):富岡 明子
合唱:新国立劇場合唱団
曲目
- グリーグ/劇付随音楽『ペール・ギュント』全曲<字幕付>
主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
公益財団法人アフィニス文化財団
「音楽文化の担い手としてのプロ・オーケストラが主催する、わが国ならびに各楽団が活動の重点を置いている地域に とって意義がある企画」として選ばれました。
後援:ノルウェー王国大使館、ロシア大使館、ロシア連邦交流庁
チケット料金 公演中止【謹告】2015年4月定期演奏会開催中止、延期のお知らせ
SS席 | S席 | A席 | B席 | C席 | |
---|---|---|---|---|---|
チケット料金 | ¥15,000 | ¥10,000 | ¥8,500 | ¥7,000 | ¥5,500 |
残席状況 | - | - | - | - | - |
○…余裕あり △…残りわずか ×…売切れ
チケット発売日
賛助会員・定期会員 2015年3月24日(火) |
東京フィルフレンズ 2015年3月28日(土) |
一般 2015年4月2日(木) |
チケット購入
インターネットで購入
その他の購入
東京オペラシティ
所在地 : 〒163-1407 東京都新宿区西新宿3丁目20番2号
TEL : 03-5353-0788(代表)
公式ホームページ : http://www.operacity.jp/concert/
交通のご案内(東京オペラシティ内)
電車
京王新線(都営地下鉄新宿線乗り入れ) 初台駅 東口(東京オペラシティ直結) より 徒歩5分
※京王線では初台駅に止まりませんのでお気をつけください。
バス
新宿駅西口より 約10分
・都営バス「西参道 新宿車庫行」(22番のりば)
→「新宿車庫前」下車
渋谷駅南口バスターミナルより 約20分
・京王バス「中野駅行」渋64(11番のりば) / 「中野駅行」渋63(13番のりば) / 「阿佐ヶ谷駅行」渋66(15番のりば) / 「初台駅行」渋谷61(12番のりば)
→「東京オペラシティ」下車
・都営バス「阿佐ヶ谷駅行」渋谷66(15番のりば)
→「東京オペラシティ南」下車
車
東京オペラシティには、隣の新国立劇場の地下駐車場と一体となった大型地下駐車場(約870台、250円 / 30分)がございます。ホールご来場のお客様は1時間分の割引券を発行いたします。コンサートホール内ビュッフェにて駐車券をご提示ください。
2人の天才の作品が組み合わさった大傑作『ペール・ギュント』
ミハイル・プレトニョフ
グリーグの『ペール・ギュント』はイプセンの戯曲のために書かれた作品で、一般に知られている組曲は後にグリーグが編んだ作品です。聴衆の皆様にとって、この作品にどういう流れがあるのか理解していただくためには、朗読も入れた今回の演奏の形でご紹介しなければなりません。台詞がなければ、どういうお話なのかがわからないからです。 組曲の音楽は広く知られていますが、この作品が何のために書かれ演奏されたかは、ご存知ない方も多いかと思います。 今回の演奏会では、2人の天才をご紹介させていただきたいと思っております。それはグリーグとイプセンです。 グリーグはイプセンの芝居のためにこの作品を書き上げました。人生・生きがいをテーマにした芝居で、読む人を深く考えさせます。 必ずやお客様の心に残る特別な演奏会になると信じております。演劇として観ることもでき、また音楽をじっくりと楽しんでいただくこともできるでしょう。今回の演奏会で『ベール・ギュント』全曲をご紹介できることは大きな喜びです。
4月定期公演のききどころ
エドヴァルド・グリーグ(1843-1907)
ペール・ギュントと聞けば、大方の日本人は、グリーグの『ペール・ギュント組曲』を思うだろう。だがこれは、グリーグの故国ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンの劇詩『ペール・ギュント』の初演の際にグリーグがつけた劇中曲を、その後集めて組曲としたものである。イプセンは、50歳を過ぎて書いた女性解放劇『人形の家』(1879)で世界に名を馳せ、社会の矛盾をえぐる問題劇で、近代劇の父とも言われる。だが、彼の最高傑作は、それより前、39歳のときの『ペール・ギュント』だと私は思っている。グリーグは、はじめ、気乗りしなかったらしいが、曲を書いていくうちに大いに乗ってきた。初日の終演は12時過ぎ、観客総立ちの大成功だった。
5幕の劇詩『ペール・ギュント』を、イプセンは上演を意図せずに書いた。だが実際は、山あり谷あり、海あり砂漠あり、笑いあり涙あり、波乱万丈、無類に演劇的な作品である。前半の3幕は、ノルウェーの民話世界から抜け出たような、現実とお伽噺を組み合わせた場面展開。村一番の嘘つきで乱暴息子ペールは、お大尽の娘の婚礼の場で、よそ者の娘ソールヴェイ(ソルヴェイグ)と、一目で思いを通じ合わせる。だが、山の魔物トロルの王国に迷い込んだペールは、そこから逃れても、もはや清らかなソールヴェイに近づくことができない。「待っててくれ」「ええ、待っている」そう言い交わしてペールは山を下り、ひそかに老母の死に水をとると、遠い世界に旅立って行く。
ヘンリック・イプセン(1828-1906)
第4幕はがらり変わって、生き馬の目を抜く近代資本主義社会。世界を股にかけたあくどい商売でひと財産築いたペールだが、ヨーロッパ各国を代表する自称友人どもに、モロッコ海岸で身ぐるみはがれ、砂漠をさまよう。猿の大群に襲われ、アラヴの女アニトラにふられ、スフィンクスの謎かけに翻弄される。あげくはカイロの精神病院で皇帝に祀り上げられたペールは、裏と表を逆にしたような現実に気を失う。イプセンの喜劇的才能、満開である。
終幕、老いたペールは、難破にあい、やっとたどり着いた故郷の村では、だれも彼を覚えていない。死神が迎えにきて、有象無象の一人でしかなかったペールを、炉にいれて焼き直すという。追い詰められたペールは、いつの間にか山を登っており、そこに見つけたのは、いつまでも彼を待っていたソールヴェイ。ペールは問う、「おれはずっと、どこをほっつき回っていたのだ?」ソールヴェイは答える、「わたしの信仰の中、わたしの希望の中、わたしの愛の中」ペールはしがみついて叫ぶ、「お袋、女房、無垢の聖女、おれを隠してくれ、その中に!」
清純な女の愛に救われたい。それは昔からの男の身勝手な願望。そんなロマンチックな解釈は現代には通じない。いまも頻繁に上演されるこの劇で、グリーグの曲が使われることはほとんどないが、そんなことにはお構いなく、『ペール・ギュント組曲』自体は、初演の昂奮のままに、演奏され喝采を浴びつづけている。
毛利三彌(もうり・みつや)
成城大学教授(演劇学)。著書『北欧演劇論』『イプセンの劇的否定性』『イプセンのリアリズム』『イプセンの世紀末』。編著『東西演劇の比較』。翻訳『イプセン戯曲選集―現代劇全作品』(東海大学出版会)その他。イプセン現代劇連続上演の演出。ノルウェー学士院会員。日本演劇学会会長(1996-2005年)。