──6/2のオペラシティ定期で取り上げるシュトラウスの『英雄の生涯』、お客様に聴いてほしいところといえばどこでしょう。

　『英雄の生涯』の面白いところはたくさんあるんですけど、僕が演奏するのに一番大事に引きたいと思う箇所は最後のほうなんですよね。（演奏）こういう最後のところなんですけど、ここを大事に弾きたいと思います。

──ベートーヴェン『英雄』とR.シュトラウス『英雄の生涯』は、どちらも演奏機会の多い作品ですね。

　そうですね。でもベートーヴェンのエロイカと、シュトラウスのアイン・ヘルデン・レーベンを一緒にプログラミングするというのはあんまりないですよね。オーケストラにとってハードなんですよね。長くて演奏するエネルギーとしても大きいので、よく外国のオーケストラの来日公演なんかで、「うちのオーケストラはこうだぞ」とアピールするために組まれるようなプログラミングです。

──マエストロ・ド・ビリーとは今回が初共演ですが、リハーサル初日はいかがでしたか？

　ビリーさんも初めてだし、アラベッラというのも僕にとっては初めてなんです。このオペラは音が多いから、音を耳で整理するのが大変なんですけれども、彼は根気強くゆっくり丁寧にみんなが理解できるようにリハーサルをやってくれてるいるので、今の段階ではとてもありがたくいい勉強できていると思います。

──マエストロ・ド・ビリーの印象はどうですか？

　彼は色々なオーケストラと演奏していると思うので、東京フィルと一緒に共演してもすぐにこのオーケストラの特徴をつかまえてくれて、反応を見ながら練習をしてくれている感じはしますね。彼自身、とてもジェントルマンだし、練習も無理なく、少しずつビルドアップされていくような感じがします。