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2017年3月30日(木)
「ピアノの魔術師」とも呼ばれた
フランツ・リスト(1811-1886)
リストのピアノ曲は人気が高く演奏機会も多くありますが、弾く側のピアニストたちの話を聞いていると、“リスト大好き派”と“どうも共感できない派”の間に、わりと深い溝があるように思います。共感できない派は、リストがヴィルトゥオーゾピアニストとして一世を風靡した時代に書いた曲が持つ、技巧アピール感や軽そうなイメージに、感情移入しにくいと感じている模様。
一方の前者“大好き派”は、そんな“誤解”を覆したい気持ちもあってか、より愛を燃え上がらせているよう。特に、スターピアニストの第一線を退いた後の作品にみられる深さや新しさ、慈善活動にも熱心だった人間性に寄せる敬愛が、しばしば語られます。
さて、6月定期演奏会で登場する阪田知樹さんはというと、筋金入りのリスト大好きピアニスト。若き日の超絶技巧作品から晩年の宗教的な作品まで、あらゆるレパートリーに愛情を注ぎ、「自分にとってリストの存在はピアノを弾く意味の一つ」だと話していました。そんな彼が昨年リスト国際ピアノコンクールで優勝したことは、なるべくしての結果というか、リスト愛の勝利というか、とにかく喜ばしいニュースでした。
リストをこよなく愛するという阪田
ちなみに、この曲はトライアングルが多用されることから、当時の批評家エドゥアルト・ハンスリックに“トライアングル協奏曲”と言われてしまったことでも有名です。トライアングル奏者の活躍にもご注目を!
◆ Soloist's Profile
阪田知樹 Tomoki Sakata(ピアノ)
阪田知樹
(c)HIDEKI NAMAI
2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ブダペスト国際コンクール)審査員満場一致での第1位、併せて6つの特別賞受賞。コンクール史上、アジア人男性として初の優勝を果たす。
1993年名古屋市生まれ。5歳よりピアノを始める。
東京藝術大学2年在学中、19歳で第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにて最年少入賞。「清澄なタッチ、優美な語り口の完全無欠な演奏」(Cincinnati Enquirer)と注目を集める。2011年、第35回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、及び聴衆賞等5つの特別賞し、名だたる世界的ピアニストを輩出し続ける「コモ湖国際ピアノアカデミー」の最年少生徒として認められる。イタリアでも研鑽を積み、2014年より特別首席入学者としてドイツ・ハノーファー音楽大学に留学中。
国内外問わず数多くの指揮者、オーケストラと共演を重ねるほか数多くの国際音楽祭にも出演。室内楽奏者としても活躍している。
2015年4月、オクタヴィア・レコードよりリスト・ショパン・ドビュッシー・スクリャービンを収録したデビューCDアルバムをリリース。
横浜市・ハノーファー在住。
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<ご案内> 高坂はる香(こうさか・はるか/音楽ライター) |
イラスト:沙良志乃 |
2017年6月定期演奏会 華麗なるリストと円熟のブラームス2017年6月14日(水) 19:00 開演(18:30 開場)
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