東京フィルハーモニー交響楽団2025シーズン定期演奏会(全8回)は、名誉音楽監督チョン・ミョンフン(2月、10月)、首席指揮者アンドレア・バッティストーニ(3月、9月)、特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフ(5月)が、それぞれの指揮者ならではの個性豊かなプログラムを披露する。盤石な指揮者体制に、桂冠指揮者の尾高忠明(4月)、「午後のコンサート」での初共演が好評だったピンカス・ズーカーマン(6月)、アソシエイト・コンダクターのチョン・ミン(7月)が加わり、オーケストラの魅力が存分に発揮される。
文=柴辻純子(音楽評論家)
2月

シーズン開幕は、名誉音楽監督チョン・ミョンフンが登場。ベートーヴェン・プログラムを披露する。三重協奏曲は、2024年の東京フィルとの韓国ツアーと同様、マエストロがピアノの弾き振りで参加。今回は次世代を担う日韓の若手奏者と共演する。ヴァイオリンの前田妃奈は、2022年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール優勝、マエストロ推薦のチェロのハン・ジェミンは、2021年エネスク国際コンクールに史上最年少の15歳で優勝。国際的に実力が評価された2人のエネルギッシュな演奏に期待が高まる。交響曲は、昨年の『田園』に続き、『英雄』を取り上げる。2020年のベートーヴェン・イヤーに予定されていた(コロナ禍による渡航制限で延期の)『英雄』がようやく実現。その磨き抜かれた演奏は聴き手の胸を熱くするだろう。
3月

首席指揮者アンドレア・バッティストーニは、『春の祭典』『火の鳥』と取り上げてきたストラヴィンスキーの三大バレエを『ペトルーシュカ』で締めくくる。ロシア民謡を採り入れながら、複調やポリリズムを用いてストラヴィンスキー独自のモダニズムを確立した作品。マエストロは燃焼度高く、鮮やかに描くだろう。生誕130年のドイツの作曲家ヒンデミット「ウェーバーの主題による交響的変容」は、ウェーバーのピアノ曲や劇音楽をもとに仕上げた「少々尖がった」(ヒンデミット)作品。ウェーバー作曲の名曲『オベロン』序曲とともに取り上げる。近年、バイエルンやドレスデンなどドイツの歌劇場にも活躍の場を広げるバッティストーニのアプローチにも注目したい。
4月
桂冠指揮者の尾高忠明が定期に登場 。ソリストは、2025年に演奏生活65周年を迎えるピアノの舘野泉。1984年の東京フィル初のヨーロッパ演奏旅行をともにするなど、日本のクラシック音楽界を牽引してきた2人による共演である。ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」は、作曲家の生誕150年を祝して。エルガーの交響曲第3番は、「誰も手をつけてはならぬ」と言葉を残して作曲家が世を去ったあと、1997年にA.ペインの補筆で完成。英国で活躍したマエストロにとって、日本初演を指揮するなど思い入れが深い作品で、名演が期待される。尾高惇忠の『音の旅』(抜粋)は、ピアノ連弾曲からの編曲。オーケストラの響きによって、その心優しい音楽がさらに深まる。
5月

特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフは、自身の編曲による大作曲家の作品を2曲取り上げる。ショパンのピアノ協奏曲第1番は、ピアニストとしても超一流のマエストロならではの編曲。オーケスレーションに大幅に手を入れ、独奏ピアノの美しさと妙技を輝かせる。ソリストの松田華音は、6歳でモスクワに渡り、モスクワ音楽院で学んだ若手ピアニスト。ロシア伝統のピアノ奏法を身につけた松田と、マエストロが作り上げるショパンは注目。チャイコフスキーのバレエ音楽『眠れる森の美女』は、プレトニョフ編曲による演奏効果抜群のピアノ独奏版を多くのピアニストが取り上げているが、オーケストラ版が演奏されるのは超レア。マエストロのセンスが光り、作品の新たな魅力発見にもつながるだろう。
6月

世界に轟く名ヴァイオリニスト、ピンカス・ズーカーマンが弾き振りで登場。2023年の「午後のコンサート」に続いての共演となる。指揮者としてのズーカーマンは、作品への共感と作曲家への尊敬を込めた温かい音楽を作り上げる。ハイドンのヴァイオリン協奏曲第1番では、ソリストとして美音を響かせながら、オーケストラに寄り添った演奏を聴かせてくれるだろう。エルガー「弦楽セレナード」では、オーケストラの弦楽器セクションから全幅の信頼を寄せられるマエストロのもと、味わい深い旋律を歌い上げるとともに、高密度のアンサンブルが期待される。モーツァルトの交響曲第41番『ジュピター』はまさに至福の時。「崇高無比」な交響曲は、まばゆい光を放つに違いない。
7月

アソシエイト・コンダクターのチョン・ミンは、韓国・江陵市交響楽団音楽監督を務めるなど、近年活躍の幅を大きく広げている。東京フィルの定期は3回目。過去の2回(2019年6月、2020年10月)は、「急遽の交代」によるため、今回が満を持しての登場となる。曲目は、チャイコフスキーの名曲2曲が並ぶ。ヴァイオリン協奏曲のソリストは、2007年第13回チャイコフスキー国際コンクール優勝の神尾真由子。音楽家としてのキャリアを着実に重ね、ますます好調の神尾が「一番の得意曲」とする協奏曲。哀愁を帯びた旋律を心に語りかけるように歌い、超絶技巧を輝かせながらオーケストラと火花を散らす演奏になろう。交響曲第6番『悲愴』は、東京フィルの実力が存分に発揮されるはずである。
9月

首席指揮者アンドレア・バッティストーニが待望のリヒャルト・シュトラウスの『アルプス交響曲』を取り上げる。大編成になるほどその実力を発揮するバッティストーニ。オーケストラを存分に鳴らし、オペラ指揮者として磨かれた表現力で作り上げる標題音楽に期待したい。マエストロがレスピーギ、カゼッラに続いて紹介するのは、イタリアのいわゆる「80年世代」のピツェッティ。かつてカラヤンもその才能に注目していた作曲家。「夏の協奏曲」(1928)は、東京フィルが日本初演した、所縁のある作品。管弦楽のための3楽章の協奏曲だが、ピツェッティの田園交響曲と言われることも。自然をキーワードにした2作品のカップリングはバッティストーニならではのこだわりだ。
10月

シーズンを締めくくるのは名誉音楽監督チョン・ミョンフン。近年、演奏会形式によるヴェルディのオペラで取り組んできたシェイクスピアの戯曲から「ロミオとジュリエット」に基づく2作品の間に、小曽根真がソリストを務める、ガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」をはさむ華やかなプログラム。バーンスタインの『ウエスト・サイド物語』より「シンフォニック・ダンス」は、リズムが躍動し、エネルギーが爆発する。プロコフィエフのバレエ音楽『ロメオとジュリエット』は、東京フィルと過去にも取り上げて絶賛を博した。20世紀に誕生したバレエとミュージカルの2つの名曲。そのドラマティックな世界をどのように描くのか楽しみだ。
最優先発売日
2024年11月22日(金)
優先発売日
2024年11月23日(土・祝)
一般発売日
2024年12月10日(火)
WEB優先発売期間 / 期間中はどなたさまも定価の1割引き!
11月23日(土・祝)10:00 ~ 12月9日(月)23:59
※2025シーズン定期会員券の販売期間
・サントリー定期シリーズ
WEB:2025年2月14日(金)10:00まで
お電話:2025年2月21日(金)18:00まで
・オーチャード定期演奏会
WEB:2025年2月14日(金)10:00まで
お電話:2025年2月21日(金)18:00まで
・東京オペラシティ定期シリーズ
WEB:2025年2月18日(火)10:00まで
お電話:2025年2月25日(火)18:00まで
※1回券は定期会員券で残席がある場合のみ、以下の日程で販売いたします。
【2月・3月・4月・5月定期の1回券発売日】
最優先発売(賛助会員・定期会員)=12月14日(土)
優先発売(東京フィルフレンズ会員・Web優先発売)=12月21日(土)
一般発売=2025年1月7日(火)
【6月・7月・9月・10月定期の1回券発売日】
最優先発売(賛助会員・定期会員)=2025年4月5日(土)
優先発売(東京フィルフレンズ会員・Web優先発売)=2025年4月12日(土)
一般発売=2025年5月8日(木)
| 最優先 | | 賛助会員、定期会員の皆様を対象とした発売日です。お電話にて承ります。 |
|---|---|
| 優先 | | 東京フィルフレンズ会員の皆様を対象とした発売日です。お電話にて承ります。 |
| WEB優先 | | 東京フィルWEBチケットサービスにて期間中どなたさまも定価の1割引きでご購入いただけます。 |
| 一般 | | 一般の皆様を対象とした発売日です。 |
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