ホーム > インフォメーション > フルート首席奏者 神田勇哉が語る 3月定期演奏会の聴きどころ

インフォメーション

2024年3月9日(土)

| 『カルミナ・ブラーナ』の魅力とは



南ドイツのベネディクトボイエルン修道院で
見付かった中世の写本『カルミナ・ブラーナ』。
冒頭の頁には運命の車輪をまわす
女神フォルトゥナと思われる挿絵が。
バイエルン州立図書館のホームページにて、
写本全頁の画像がみられます。
(バイエルン州立図書館所蔵)

「21曲目『秤にかけてみよう(イン・トゥルティーナ)』という楽曲は、実相寺昭雄監督によるウイスキーのCMで有名ではないでしょうか。この曲が本当に美しくて、自分で編曲をしたことがあるくらい好きなのですが、今回演奏してみて改めて『カルミナ・ブラーナ』は名曲だなと実感しています。クラシック音楽に馴染みのないひとでも聴いて直感的に『カッコいい!』と思える曲です。
曲調は非常に深刻に聞こえますが、実際は日々の生活が気楽に綴られていく歌が連なります。テレビのチャンネルを変えたら別の番組になるみたいに、聴いていると一曲一曲が別番組として続いていくかのようです。
 『カルミナ・ブラーナ』を簡単に説明すると、修道院で発掘された中世の写本に載っていた詩からピックアップして歌にしてみた、というもので、厳粛な宗教歌ではないのです。『世俗的』カンタータとあるように、春に浮足立つ若者の恋とかギャンブルと酒がやめられない男の戯言とかが歌われていて、詩の内容は他愛もないというところが現代の私たちにも共感を得られます。
マエストロもリハーサル中に、『“オラトリオ”ではないので、アクセントや繰り返しの1回目は弱く、2回目は強く演奏して音量差をオーバーに誇張して面白さをだして欲しい』と指示されていて、私たちも楽しんで演奏しています」。



| 今回の定期演奏会で演奏する二曲の共通点とは


「非常に『シンプル』であるという点が共通点だと思います。モーツァルトからリヒャルト・シュトラウスに至るクラシック音楽の歴史のなかで、時代が進むにつれて単純に音数が増えていると思うのですが、オルフは『カルミナ・ブラーナ』で、原点に立ち戻ったかのようにシンプルな音だけで勝負しています。ただ一つの音をとても長く伸ばしたり、五度しかないシンプルなコード進行を繰り返したりと、ひねってなさが逆に俗っぽさを演出していて、聴いている人の心にすっと入るのではないかなと思います。
 レスピーギも同じ発想で、ひとつのシンプルなテーマを変奏していく曲です。テーマがシンプルだからこそ、いろいろな変奏にしても次はどうくるのかが容易に予想できるので、違いを楽しめるのだと思います。変奏していくなかでいろいろな楽器が登場して、音色が移り変わっていくさまをぜひ楽しんで聴いていただきたいです」。




| マエストロとの共演について



Ⓒ上野隆文

「マエストロ・バッティストーニの音楽が放つ爆発力はもちろん魅力のひとつですが、声楽のある楽曲での手腕も随一だと思います。
 マエストロは若き天才指揮者としてデビューされましたが、それこそ『カルミナ・ブラーナ』の舞台都市にあるバイエルン国立歌劇場ですとか、アレーナ・ディ・ヴェローナなど世界各地で経験を積まれて、技術も音楽性もどんどん深くなっていると感じます。ですので、圧倒されるようなパッションだけではなく、マエストロの作り出す音楽の深みも感じていただけたらと思います。
 音楽的な深みと世俗的で気楽な歌の内容はいっけん相反するように思えますが、私たちが日常生活で感じるそこはかとない悲しみだったり、大声で歌いだしたくなるくらいの喜びだったり、そういう人生の喜びのようなものを音楽でみせられるような演奏会にしたいです」。



3月定期演奏会 

チケットを購入
3月10日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール
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3月13日[水]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
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3月15日[金]19:00開演
サントリーホール

指揮:アンドレア・バッティストーニ
(東京フィル 首席指揮者)
ソプラノ:ヴィットリアーナ・デ・アミーチス*
カウンターテナー:彌勒忠史*
バリトン:ミケーレ・パッティ*
合唱:新国立劇場合唱団*
児童合唱:世田谷ジュニア合唱団*


楽曲解説(PDF)


レスピーギ/リュートのための古風な舞曲とアリア 第2組曲
オルフ/世俗カンタータ『カルミナ・ブラーナ』*


特設ページはこちら


1回券料金

  SS席 S席 A席 B席 C席
チケット料金

¥15,000

¥10,000
(\9,000)

¥8,500
(\7,650)

¥7,000
(\6,300)

¥5,500
(\4,950)

※( )…東京フィルフレンズ、WEB優先発売価格(SS席は対象外)


主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援))| 独立行政法人日本芸術文化振興会(3/15公演)
協力:Bunkamura(3/10公演)

公演カレンダー

東京フィルWEBチケットサービス

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