ホーム > インフォメーション > 【特別記事】10月定期演奏会の聴きどころ 服部百音が綴る「ファジル・サイ」

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2024年8月20日(火)

鬼才ファジル・サイ作曲のヴァイオリン協奏曲『ハーレムの千一夜』の独奏には、2023年9月に開催されたファジル・サイの来日公演「FAZIL SAY 2023」にて、サイのヴァイオリン・ソナタ第2番『イタ山』を日本初演し話題をさらった服部百音が登場します。
『ハーレムの千一夜』はサイが描いた現代版シェエラザード。彼の世界観を知る服部百音がヴァイオリンで語る千一夜物語に、どうぞご期待ください。






ファジル・サイと

 ファジルは、時折凶暴とも思える彼の音楽や出立と裏腹に、とても愛情深く、物凄くピュアな人です。混じり気のない、汚染されていない心の持ち主です。話している時は、常に音楽と一体化していて人の姿をした音楽という表現の方がしっくりくるような人。昨年彼のヴァイオリンソナタ第2番の日本初演をした時、私は腸の病気との闘いの最中でしたがとても楽しみにしていました。私が何より嬉しかったのは、長時間の濃密なリハーサルを言葉や理論でなく音だけで出来たこと。阿吽の音での意思疎通だけで本番を迎えられたのは初めてでした。この経験は当時の私に生きたい!!もっと弾きたい!!という希望をくれました。本番日が私の24歳の誕生日と重なり、ファジルがカーテンコールのサプライズで舞台上で祝ってくれた事も全て、忘れられません。



トルコの太鼓「クドゥム」はサイ氏本人からの貸与

 彼は、自然破壊の悍ましさと恐怖を描く事でその裏を返した地球や子供達、動物への癒し、愛情、人間への問題提起をテーマとした作品を多く書いています。彼の交響曲第5番や私が日本初演を務めさせて頂いたヴァイオリン・ソナタ第2番などもそうです。しかしどれも、単なる描写的/物理的表現に終始せず彼特有の和声の響きとリズムが複雑に絡み合った音楽言語で語られているから思わず”信じられない”と形容してしまう様な突き抜けた魅力を感じるのだろうと私は思います。そして今回演奏するコンチェルトは、聴き進めると雄大な自然に暮らす野生動物が目に浮かび、砂漠の威圧的な熱を感じ、ジャングルの猛々しさむさ苦しさと共存するとてつもない美しさ、多種多様な人間の心象風景をその場で擬似体験出来てしまうお世辞抜きで不思議な力があります。中間部ではトルコ民謡のウシュクダラが熱く歌われます。耳で発見してみて下さい。皆さんには音像体験を通して、実際音として作品が鳴った時の彼の願う平和や人類への警告の真意を感覚で掴み取って下されば嬉しく思います。
ハーレムという単語に最初私は大きな違和感がありましたがこの曲の場合の「ハーレム」はファジル曰く「多様性豊かで一瞬のうちに違ったエネルギーを見せ続ける女性性の魅力」の事だそう。そしてその多様性にちなんで「千一夜」だそうです。でも多分、我々が想像する千一夜物語の要素は、彼の人生の中で心の影にもなった身近な想念であり、音楽にそっと生かしたのだろう、という理解です。滅多に出来る曲ではないです。お楽しみに。

 出口マエストロとは今回初めてご一緒させて頂きますが、ファジル・サイで共演ということ自体本当に珍しくわくわくしています。






服部 百音(はっとり・もね)/ 5歳よりヴァイオリンを始め、8歳でオーケストラと初共演。2009年にリピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少第1位、その後も多数の国際コンクールでグランプリを受賞。2017年に新日鉄住金音楽賞、岩谷時子賞、18年にアリオン桐朋音楽賞、服部真二音楽賞、2020年にホテルオークラ音楽賞、出光音楽賞を受賞。現在はN響、読響、東フィル、東響、日フィルをはじめとする数々の著名オーケストラ、指揮者と共演し国内外で演奏活動を行っている。現在、桐朋学園大学音楽学部大学院に在籍。使用楽器は日本ヴァイオリンより特別貸与のグァルネリ・デル・ジェス。



10月定期演奏会 

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10月17日[木]19:00開演
サントリーホール
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10月18日[金]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
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10月20日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

指揮:出口大地
ヴァイオリン:服部百音*


ハチャトゥリアン/『ヴァレンシアの寡婦』組曲より
ファジル・サイ/ヴァイオリン協奏曲『ハーレムの千一夜』*
コダーイ/ガランタ舞曲
コダーイ/ハンガリー民謡『孔雀は飛んだ』による変奏曲


特設ページはこちら


1回券料金

  SS席 S席 A席 B席 C席
チケット料金

¥15,000

¥10,000
(\9,000)

¥8,500
(\7,650)

¥7,000
(\6,300)

¥5,500
(\4,950)

※( )…東京フィルフレンズ、WEB優先発売価格(SS席は対象外)


主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
共催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団(10/18公演)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))| 独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:Bunkamura(10/20公演)

公演カレンダー

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