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2014年6月11日(水)
特別インタビュー | 飯守泰次郎が語る「R. シュトラウス」の魅力
飯守 泰次郎(指揮者)
6月17日(火)の第849回サントリー定期シリーズにて指揮を振る飯守泰次郎氏にインタビューを行いました。
新国立劇場の次期オペラ芸術監督に就任する飯守氏に、今年が生誕150周年であるR. シュトラウスという作曲家について、またそのオペラや曲についての印象を伺った。リハーサルの合間に「東京フィルはやっぱり日本のシュトラウスの誇りだと思う。オペラをたくさん演奏している、そういう人たちと演奏できることは本当に嬉しいです」語る飯守氏の目に写った「オペラの東京フィル」とは。
──R. シュトラウスの音楽で、オーケストラに対して強く伝えたいことはなんでしょうか。
R. シュトラウスは今年が生誕150年です。こういった年に行われる、そういう記念のコンサートになるわけですよ。そしてそれを僕が仰せつかったということ、そして東京フィルとそれができる。それがすごく嬉しく思いますね。
というのは、東京フィルはずっと新国立劇場でも弾いてきているので、その中にR. シュトラウスのレパートリーがたくさん入っていたわけですよ。今日練習したものだけでも『サロメ』があったり『ローゼンカヴァリエ(ばらの騎士)』などがありましたし、東京フィルはほぼ全てといってもいいほどシュトラウスのオペラをやっているんですよ。他に『影なき女』とか『無口な女』とかまだまだいろいろあるんですけど、東京フィルはほぼ全てやっているので、今日も練習していて「あぁ、よく知っているオーケストラなんだな」と思いましたね。ですから、東京フィルとできるということ、そして150年祭で振れるということをすごく嬉しく思います。
──R. シュトラウスの曲への印象について伺えますか。若かった時と現在では曲へのアプローチなどは変わられたり。
リヒャルト・シュトラウスってすっごい才能だと思うんですね。その一方で、悲劇。ぞっとするような悲劇。たとえば『サロメ』とか『エレクトラ』とか、そういうのがあると思えば『ローゼンカヴァリエ』とか『アラベッラ』とか本当に楽しいものがあったりと両方ありますね。そのシュトラウスの才能というものに僕はすっかり傾倒しているんです。ですので、作品によってものすごく変わるんです。作品によって僕のアプローチもずいぶん変わるんですね。
たとえば、シュトラウス自身が指揮者だったので、表現の仕方やオーケストレーションがものすごく卓越しているんです。素晴らしいです。そういう意味では、僕はシュトラウスをやるのはとっても楽しくて、嬉しいことなんですけど、シュトラウスを思ったとおりにやるっていうのはやっぱり大変なんです。
──どういったところが大変なんでしょうか。
やっぱり、まず技術的なものですね、アンサンブル。それからキャラクター。やっぱりシュトラウスの表現っていうのは豊かなんですよ。もちろん作曲家は誰だって豊かですけどね。さっき言った悲劇・喜劇に加えて、オペラや『4つの最後の歌』もありますよね。それからシンフォニックポエム(交響詩)『ドン・フアン』。みんな、表現の仕方が様々に違う、そこがシュトラウスの才能のすごいところで、大変なところです。
──今回のR. シュトラウスの曲へのアプローチも含め、マエストロはどのように指揮を学ばれたのでしょうか。
僕の先生は斎藤秀雄先生ですけれども、すごく厳しい人で。技術、まず技術がきちんとしていないとダメだと。そういう点ではすごく厳しい人だったんだけど、あの先生にそういうふうに鍛えられたことをすごく嬉しく思います。僕が大学で学生オーケストラを指揮しているときに、後ろで先生が立っているんです。「ここをもっと強く」と僕がいうと「そんなの強くちゃダメだよ」とおっしゃって(笑)、指揮者がもう一人いたわけですよね。それはもちろんいい勉強になったんですけど、なかなか厳しかったですよ。僕がなにか指揮者らしいことをやろうとすると、反対のことを言われて。そういった齋藤先生の指導の環境で指揮を学びましたね。
──齋藤先生と同じように(飯守先生も)指導は厳しいんですか。
僕が? 僕は厳しくないと思いますよ。ただ、もしかしたらしつこいかもしれない。僕の練習というのは、他の普通の指揮者よりも練習が長いかもしれない。ただ、練習の時間を超えるということは絶対しませんよ。今日も早く終わったんですけどね。でも皆さんが協力してくださるので、厳しい必要はないですよ。東京フィルは厳しい必要はないですね。
その他のインタビューはこちら
第849回サントリー定期シリーズ
【学生当日券 ¥1,000】
2014年6月17日(火) 19:00 開演(18:30 開場)
指揮:飯守 泰次郎
ソプラノ:浜田 理恵*
オール・リヒャルト・シュトラウス・プログラム
交響詩『ドン・ファン』作品20、
4つの最後の歌 *
楽劇『サロメ』作品54より「7つのヴェールの踊り」
歌劇『カプリッチョ』作品85より
『ばらの騎士』組曲