ホーム > インフォメーション > ミハイル・プレトニョフ、作曲家シチェドリンを語る | 6月定期演奏会

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2022年5月27日(金)

 

 6月定期に登場するマエストロは特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフ。当初2020年6月定期演奏会にて演奏予定だった「シチェドリン/カルメン組曲」に寄せて、作曲家シチェドリンとの思い出や、演奏する「カルメン組曲」についてインタビューしました。

2019年10月のインタビューより/写真=上野隆文




| シチェドリンとの思い出


 シチェドリンの作品は東京フィルの皆さんと演奏したことがあります。管弦楽のための協奏曲「お茶目なチャストゥーシュカ」だったと思います。ドイツ・グラモフォンからCDがリリースされていますが、これはシチェドリンからとても良い録音だったと褒められました。シチェドリンも私と同じピアノの先生(ヤーコフ・フリエール)に学びました。最初の弟子がシチェドリンで、私は最後の弟子。彼と私のあいだには深い縁があるのです。
 彼とは色々なエピソードがあります。印象的な思い出は、彼の80歳記念のコンサート。マイスキーがチェロを弾き、シチェドリンがピアノを弾いて自身の曲を演奏したり、私とシチェドリンとで4手の作品を演奏したり、彼の伴奏で歌曲を歌ったりオーケストラ作品も演奏されたりと、様々な曲目でシチェドリンは喜んでくれました。昔は作曲家の記念の催しは趣向を凝らしていたのです。最近はオーケストラ作品のみ演奏することが多いのですが、室内楽やピアノ曲などバラエティに富んだプログラムで演奏していました。

| バレエ音楽用にアレンジされた「カルメン組曲」

 シチェドリンは非常に頭のいいひとでした。彼のやることは考え抜かれていて、知性の高さが感じられます。「カルメン組曲」の楽器編成も考え抜いた上での選択でしょう。「カルメン」は弦楽器が歌う曲なのでそのために弦を重視してありますね。そしてバレエにとってはリズムが重要なので打楽器が多いのでしょう。
 バレエの振付は、当時のソビエトでは非常にスキャンダラスなものでした。時の政権から、このバレエを上演してはいけないという禁止令も出たほどです。
 「カルメン組曲」以外もそうなのですが、基本的に彼が書いた作品は夫人のマイヤ・プリセツカヤに捧げられたものです。彼女のイメージが彼の曲の中で生きている。本当に仲の良い夫婦で、いつも一緒にいました。
 「カルメン組曲」の音符は“ビゼー”です。シチェドリンは切ったり貼ったりアレンジしてあるのみで、独創的に作曲したわけではありません。テーマとしてはスペインのカルメンの生涯をたどっていて、音楽ではフランスの色が強い。スペインとフランスは国境が接しているので、たとえばフランスのラドゥールは国境が近いこともあってスペインの血が混じっていると言います。
 音楽はプラクティカルに書いてあるので、演奏する人にとってはわかりやすいですね 。



作曲家 ロディオン(ロジオン)・シチェドリン(1932.12.16-)



 生誕90年を迎える作曲家シチェドリン
 (1932-)(Reprinted by kind
 permission of Boosey & Hawkes)


1932年12月モスクワの音楽一家に生まれたシチェドリンはその音楽人生をモスクワの合唱学校の歌手として開始した。モスクワ音楽院で作曲とピアノを学び、オペラ、バレエといった舞台音楽、管弦楽、室内楽、声楽・器楽など幅広い分野の作品を発表。ピアノの名手としても知られる。1958年にボリショイ劇場の名プリマ・バレリーナ、マイヤ・プリセツカヤ(1925-2015)と結婚。
冷戦時代よりその作品は欧米各国でバーンスタイン、ロストロポーヴィチ、マゼール、ヤンソンス、小澤征爾といった世界的指揮者らにより初演され、1970~80年代にはバイエルン美術アカデミー通信会員、ドイツ芸術アカデミー名誉会員、国際音楽評議会名誉会員、ベルリン芸術アカデミー会員など歴任。1973年にはショスタコーヴィチ自らの求めによりそのあとを継いでソヴィエト連邦作曲家同盟(当時)理事に就任、10年以上にわたりその任を務めた。
2度のグラミー賞ノミネート、独エコー・クラシック賞受賞、世界的コンクールでの作品初演、1995年ダボス会議(世界経済フォーラム)にて「世界の問題を解決するために貢献した文化人に贈られる」クリスタル・アワードなど受賞多数。激動の時代を現在に伝える、世界から尊敬を集める芸術家である。現在はミュンヘンとモスクワに居住。





【特集】

 ▷ 【特別記事】『カルメン組曲』と『白鳥の湖』~作曲家を導いたミューズたち~(文=赤尾雄人)

 ▷ 【楽団員インタビュー】コンサートマスター 依田真宣

6月定期演奏会

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6月8日[水]19:00開演
サントリーホール
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6月9日[木]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
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6月12日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

指揮:ミハイル・プレトニョフ
(東京フィル 特別客演指揮者)

曲目解説(PDF)

シチェドリン/カルメン組曲
〈シチェドリン生誕90年〉
チャイコフスキー/『白鳥の湖』より
(プレトニョフによる特別編集)


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