ホーム > インフォメーション > 作曲家が歩いたパリの街並み(写真・文=永井玉藻) | 5月定期演奏会

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2022年4月7日(木)


 フランスの首都であるパリは、5月定期に登場する3人の作曲家が活躍した19世紀後半から20世紀前半の街並みを、今も多く留めています。彼らに関わりのあった場所を訪れると、今にも作曲家たちが現れそうな雰囲気が残っていることも珍しくありません。「作曲家が歩いたパリの街並み」では、5月定期の演目に寄せて、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルにゆかりの場所を写真とともにお届けします。(写真・文=永井玉藻)





『ペレアスとメリザンド』を作曲していた時期に、フォーレが首席オルガン奏者を務めていた教会。彼は同時期にパリ音楽院作曲科教授の仕事も担っており、非常に多忙だった。そのため、作品の最終的なオーケストレーションは、フォーレの弟子の一人であるシャルル・ケクラン(1867-1950)に任せられている。なお、マドレーヌ寺院ではフォーレの代表作の一つである『レクイエム』第1稿の初演(1888年)も行われた。

住所:Pl. de la Madeleine 75008 Paris
メトロ最寄り駅:マドレーヌ駅(Madeleine)



閑静な住宅街にあるパリ市の公営墓地の一つで、第14区画にドビュッシーの墓が、第15区画にフォーレの墓がある。フォーレは晩年、このパッシー墓地から歩いて15分ほどのヴィーニュ通り34番地に住んでおり、ドビュッシーもまた、墓地のあるパリ16区のボワ・ド・ブーローニュ大通り80番地に、1904年から彼の死まで居を定めていた。エッフェル塔を臨める墓地内には、他にアンドレ・メサジェ(1853-1929)やジャック・イベール(1890-1962)といった作曲家らの墓もある。



ドビュッシーの墓



フォーレの墓


住所:2 Rue du Commandant Schloesing, 75016 Paris
メトロ最寄り駅:トロカデロ駅(Trocadéro)

 

凱旋門から伸びる12本の通りのうちの一つ、カルノ大通りの4番地には、ラヴェルが『ダフニスとクロエ』作曲時に住んでいた家がある。1908年、父ジョゼフの死後に引っ越してきたこの家について、ラヴェルは親友のゴデブスキ夫妻に、「素晴らしい眺望で、何もかも、電気さえ使える快適なアパルトマン」と書き送った。現在、建物の外壁には、ラヴェルが『ダフニスとクロエ』を作曲したことを示す記念プレートが設置されている。






住所:4 Av. Carnot, 75017 Paris
メトロ最寄り駅:シャルル・ド・ゴール=エトワール駅(Charles de Gaulle - Étoile)

 

ドビュッシーが『海』の作曲に着手したころの住まい。落ち着いた雰囲気のあるこのアパルトマンの6階に、ドビュッシーは一人目の妻だったリリー・テクシエと共に、1899年から住んでいた。彼らの部屋は146平方メートルの床面積を持ち、住民共用の中庭もあったという。建物には、オペラ『ペレアスとメリザンド』初演時(1902年)にドビュッシーが居住していたことを示す記念プレートと、ドビュッシーについて説明するパリ市の歴史掲示板が設置されている。








住所:58 Rue Cardinet, 75017 Paris
メトロ最寄り駅:ワグラム駅(Wagram)






パリ市の北西部に隣接する、ルヴァロワ=ペレ市の公営墓地。ラヴェルは1904年から1908年までルヴァロワに住んだことがあり、両親の墓があること、また弟のエドゥアールが独立後に同市に家を購入したこともあって、この地には定期的に足を運んでいた。現在、ラヴェルは両親と弟とともに、第16区画の墓に眠っている。なお、ルヴァロワ墓地には、エッフェル塔の設計者であるギュスターヴ・エッフェルの墓もある。

住所:106 Rue Baudin, 92300 Levallois-Perret, France
メトロ最寄り駅:ポン・ドゥ・ルヴァロワ・ベコン駅(Pont de Levallois Bécon)







ゴシック建築の大聖堂。2019年の大規模火災で尖塔や屋根が崩落したため、2022年3月現在は、少しずつ再建作業を進めているようす。


住所:6 Parvis Notre-Dame - Pl. Jean-Paul II, 75004 Paris
メトロ最寄り駅:サン・ミシェル=ノートルダム駅(Saint Michel Notre-Dame)




1795年から1911年まで、パリ音楽院の校舎として使用された建物。パリ・オペラ座の舞台装置アトリエや、付属バレエ学校が同居していた時期もある。フォーレとラヴェルとのあいだで交わされた手紙の中で、「フォーブル・ポワソニエールの思い出」と言及されているのが、この校舎での日々のこと。音楽院院長となったフォーレが、1911年に校舎をマドリッド通りへ移転させたのちは、現在に至るまでフランス国立高等演劇学校の校舎として使用されている。

住所:2 bis Rue du Conservatoire, 75009 Paris
メトロ最寄り駅:グラン・ブルヴァール駅(Grands Boulevards)





永井玉藻(ながい・たまも)

パリ第4大学博士課程修了、博士(音楽学)。専門は西洋音楽史、特に19世紀から現代までのフランス音楽やオペラ、バレエ作品。現在、武蔵野音楽大学・大学院非常勤講師、白百合女子大学 非常勤講師、慶應義塾大学 非常勤講師。主な論文に「19世紀後半のパリ・オペラ座におけるバレエ伴奏者」(日本音楽学会、2018年)、共著書に『《悪魔のロベール》とパリ・オペラ座 19世紀グランド・オペラ研究』(上智大学出版、2019年)ほか。



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5月定期演奏会

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5月18日[水]19:00開演(18:15開場)
サントリーホール
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5月20日[金]19:00開演(18:15開場)
東京オペラシティ コンサートホール
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5月22日[日]15:00開演(14:15開場)
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

曲目解説(PDF)

フォーレ/組曲『ペレアスとメリザンド』
ラヴェル/『ダフニスとクロエ』第2組曲
ドビュッシー/交響詩『海』(管弦楽のための3つの交響的素描)
ラヴェル/管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』

公演カレンダー

       

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