いよいよ本日よりマエストロ チョン・ミョンフンとのシーズン開幕定期2月定期演奏会のリハーサルが始まりました。コンサートマスターは三浦章宏がつとめます。
三浦は昨年5月に行われた、マエストロとの韓国ツアーでも全公演でコンサートマスターをつとめました。その時にも共演したベートーヴェン「三重協奏曲」の鮮烈を語ります。

◎2024年の韓国ツアーレポートはこちらから

ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲

　「ベートーヴェンの三重協奏曲は2024年5月にも韓国で、マエストロの弾き振りでご一緒しました。あの時の印象が非常に鮮烈に残っています。実は、マエストロ チョンとの三重協奏曲は何年も前にアジアツアーで別のソリストとご一緒しています。その時もマエストロのピアノを弾く姿というのが鮮烈で、とても楽しかったのです。今回のソリストお二人とは私はまだご一緒したことがないのですが、すばらしい方々と聞いていますし、マエストロは若い演奏家と共演するのがとてもお好きなので、非常に楽しみです。
　マエストロがご自身でピアノを弾くというところで、マエストロの音楽のイメージが、指揮で私たちに発信するよりもダイレクトに伝わってくると思います。非常に説得力のあるピアノの演奏で、マエストロご自身がピアノで直接音に出すことでニュアンスやそういったものが私たちオーケストラにも非常にダイレクトに伝わってきますので、私たち自身にとっても、すばらしい体験になると感じています。
　三重協奏曲は、ベートーヴェンの中でも比較的こぢんまりとした編成で、またベートーヴェンの深刻さや暗さといったものというよりも、とても明るい、どちらかというと祝祭的な部分が出ている作品です。それでもそれはやっぱりベートーヴェンの音楽だ、というところで、このようなシーズン開幕のコンサートにぴったりだと感じています」。

交響曲第3番『英雄』

　「交響曲第3番『英雄』についても、マエストロ チョンとはすでに何度かご一緒しています。2001年にマエストロが東京フィルにいらして間もないころですので、20～30年前でしょうか、ベートーヴェンの交響曲全曲プロジェクトを行ったのです。私はそのコンサートすべてに出演していたのですが、やはりこの『英雄』にかけるマエストロの特別な思いというものが非常に伝わってきました。やはりこれはベートーヴェンの9曲の交響曲の中でも、ひとつのエポックメイキングな曲。それまでのクラシック音楽の流れが大きく変わった、革新的な曲なのです。マエストロがこの曲に対して感じておられる重要性を感じることができました。
　マエストロはそれからもずっと進化し、より深い音楽を創っておられます。リハーサルでもずっと言われていることは、深い音、力づくではなくピュアな音、自然な音、と、ずっとおっしゃっています。数年前には交響曲第6番『田園』をご一緒しましたが、今回は第3番『英雄』で、ベートーヴェンの強い意志といったものが表現される、その対比といったものを楽しめるのではないかと思います」。