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2022年10月17日(月)
チェロ首席奏者 服部 誠 Ⓒ上野隆文
10月定期演奏会のリハーサル初日が終わりました。もうヘトヘトです。マエストロとのリハーサルではいつもそうであるように、マエストロの音楽に対する情熱と愛が凄すぎて圧倒されます。曲の隅々まで、全てのパートの全ての音にまで神経が行き届いていて、どういう音を選んで、どう弾くべきか、私たちを導いてくださいます。
マエストロの要求はとても次元が高く、繊細です。「どれだけたくさん勉強しているのだろう?」とスコアを覗き込むと、ほとんど何も書き込みが無いのです。全て頭に入っているのですよね!!
10年ほど前、マエストロを囲んでのパーティー(宴会)がありました。その席でオペラの話になり、私が「モーツァルトとリヒャルト・シュトラウスのオペラが好きだ」と話したら、マエストロが「違う!ヴェルディだ!ヴェルディの音楽には人間のドラマが全てある。熱いハートがある!」と叫んでいらっしゃいました。その時、マエストロと私たちは、『トリスタンとイゾルデ』全曲のコンサートツアー中で、毎日どっぷりワーグナーに浸かっていたので、その最中にヴェルディか!と不思議に思いましたが、それほどマエストロは心の底からヴェルディを愛しているのですね。
そのマエストロとヴェルディ、しかもヴェルディ晩年の傑作『ファルスタッフ』!これは凄いことが起こるのでは、と期待していましたが、初日のリハーサルは想像以上でした。
マエストロはヴェルディが書いたスコアから最高の音楽を表現するだけでは飽き足らず、演出、照明、衣装、小道具、その他全てのことにまで徹底的にこだわって、今まで上演されたどの舞台よりも最高の『ファルスタッフ』を作り上げています。マエストロ自身も、なんとオーケストラのメンバーも芝居に加わり、より面白い舞台を作り上げようとされています。
今回はコンサート形式の演奏とされていますが、それはどうやら間違いのようです。オペラの上演とまではいかないものの、視覚的にも非常に楽しい『ファルスタッフ』になることでしょう。歌手の皆さんとマエストロの演技、小道具にも注目です。マエストロのファンタジーがたくさん詰まった、最高に楽しい『ファルスタッフ』になること、間違いありません。
【特集】
▷ 【特別記事】『ファルスタッフ』演出補、家田淳さんが語る マエストロ チョン指揮・演出『ファルスタッフ』「きっと今までにない舞台になると思います」▷ 【特別記事】10月定期演奏会の聴きどころ「最後に笑う者が、本当に笑う者なのだ〜ヴェルディの総決算にして新しい時代を切り開いた究極の傑作『ファルスタッフ』」(文=加藤浩子)
▷ 【特別記事】10月定期演奏会の聴きどころ「世界初! 名演の期待が高まるチョン・ミョンフンの『ファルスタッフ』(文=香原斗志)
▷ 東京フィル名誉音楽監督マエストロ チョン・ミョンフンが語る『ファルスタッフ』
▷ 歌劇『ファルスタッフ』の物語
10月定期演奏会 オペラ演奏会形式『ファルスタッフ』
10月20日[木]19:00開演
サントリーホール
10月21日[金]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
10月23日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール
指揮・演出:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)
ファルスタッフ(バリトン):セバスティアン・カターナ
フォード(バリトン):須藤慎吾
フェントン(テノール):小堀勇介
カイウス(テノール):清水徹太郎
バルドルフォ(テノール):大槻孝志
ピストーラ(バス・バリトン):加藤宏隆
アリーチェ(ソプラノ):砂川涼子
ナンネッタ(ソプラノ):三宅理恵
クイックリー(メゾ・ソプラノ):中島郁子
メグ(メゾ・ソプラノ):向野由美子
合唱:新国立劇場合唱団
ヴェルディ/歌劇『ファルスタッフ』(演奏会形式)
公演時間:約2時間30分(休憩を含む)
原作: ウィリアム・シェイクスピア 『ウィンザーの陽気な女房たち』
台本: アッリーゴ・ボーイト
主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
共催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団(10/21公演)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション(10/20公演)
公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団(10/20公演)
公益財団法人 花王 芸術・科学財団(10/20公演)
後援:日本ヴェルディ協会
協力:Bunkamura(10/23公演)