ホーム > インフォメーション > コントラバス首席奏者 片岡夢児が語る 1月定期演奏会

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2023年1月25日(水)



――今回のプログラムについてお聞かせください


コントラバス首席奏者 片岡夢児 ©上野隆文


 「今回は特に、マエストロも日ごろからおっしゃっている『ディープ・サウンド』、その真骨頂という感じがします。私は2021年のブラームス交響曲全曲公演は幸いにもすべてご一緒できて、その前にもマーラー等でご一緒してきました。あくまで個人的な印象ですが、ブルックナーで特にマエストロの真髄が見えるのかな、という気がしています。
シューベルトの『未完成』には二つの楽章があり、どちらの楽章も低音から始まります。第1楽章はチェロとコントラバス、第2楽章はコントラバスだけで。とてもやりがいがありますし、ベースらしさで音楽を創れたらいいなと思っています。

 私は東京フィルでブルックナーを演奏するのは今回が初めてですが、それ以前には何度か演奏する機会がありました。実は20代の頃はどちらかというと、同じ規模の作曲家ですとマーラーの方が好きで、ブルックナーは『突然あっちに行ったりこっちに行ったり』する印象が強く‥。ところが、今回リハーサルが始まったら、初日はあっという間に終わったように思えました。それはもちろんマエストロの導きによるものでもありますし、私自身が人生経験を積んで志向が変わってきたということでもあるかもしれません。
 リハーサルの初日に一番はっとしたのは、マエストロが『メシアンとブルックナーは特に信仰が強かった』という話をされたときのことです。私自身には信仰はありませんが、西洋文化への理解を深めるために聖書や神話などを勉強したことはあります。マエストロのもとでブルックナーの第7番を演奏して、オーケストラ全体の集中力が高まったときには、もしかしたらその信仰心というものが私にも見えるかもしれない、何かが“降りてくる”かもしれない、という感覚をおぼえました。これまではブルックナーをロジックでとらえ、『ここの(楽想の)繋がりが…』といったことで敬遠していたところもあったのですが、それも、今回演奏していて何の違和感もなく、たとえばパッと場面が変わるようなところでも、一歩一歩、階段を上って高みに行くための『一歩上った景色』のように捉えられるような…マエストロの指揮によって、そのように導かれているような気がしています。本番も楽しみですし、リハーサル中も既にかなり幸福を感じています」


――シューベルト『未完成』については

 「シューベルトはブルックナーに比べると、もうすこし世俗的な感じがします。マエストロがリハーサルで『第1楽章は自分(マエストロチョン自身)で暗い感じ、第2楽章は自分の妻。虹が出て陽光がさしている』と話されました。そういった話ひとつとっても、とても分かりやすいし、こちらにユーモアをもたらしてくれる。シューベルトのほうがより人間くさい感じを受けています」



――この2曲を一つの演奏会で取り上げることについて

 「二つの曲には似通ったところがあり、しっくりくる、という感じはありますね。一つのコンサートでやるのにぴったりと思います。作曲家や書かれた時代や環境は違っても、最終的な到達点へのベクトルは似ている。私自身も、オーケストラ全体も、お客様も、何か“見える”といいなと思います」




初日リハーサルの様子




【特別記事】

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 ▷ 【楽団員インタビュー】コンサートマスター 三浦章宏
 ▷ 【楽団員インタビュー】第二ヴァイオリン首席奏者 戸上眞里&藤村政芳
 ▷ 【楽団員インタビュー】ヴィオラ首席奏者 須田祥子
 ▷ 【楽団員インタビュー】チェロ首席奏者 渡邉辰紀
 ▷ 【楽団員インタビュー】フルート首席奏者 神田勇哉
 ▷ 【楽団員インタビュー】オーボエ首席奏者 荒川文吉
 ▷ 【楽団員インタビュー】ファゴット首席奏者 廣幡敦子
 ▷ 【楽団員インタビュー】ホルン首席奏者 齋藤雄介、ホルン奏者 田場英子
 ▷ 【楽団員インタビュー】トランペット首席奏者 古田俊博
 ▷ 【楽団員インタビュー】ティンパニ奏者 塩田拓郎


1月定期演奏会 

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1月26日[木]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
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1月27日[金]19:00開演
サントリーホール
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1月29日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

楽曲解説(PDF)


シューベルト/交響曲第7番『未完成』
ブルックナー/交響曲第7番(ノヴァーク版)


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主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:Bunkamura(1/29公演)

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