ホーム > インフォメーション > ファゴット首席奏者 廣幡敦子が語る 1月定期演奏会

インフォメーション

2023年1月26日(木)



――3日間のリハーサルを終えて。


ファゴット首席奏者 廣幡敦子 ©上野隆文


 「2021年7月・9月定期演奏会での『ブラームスツィクルス』の時は音の繋がりやDeep(音の深み)のことを頻繁に言われましたが、今回はさらに音の内面へ目を向けるように導いてくださったように感じます。
 ff(フォルティッシモ)で音の外側は強い音をしていても内側には金が輝き続けていたり、ただ強く大きいといった音の表現だけではなく、内面の美しさや芯の強さを持続させる、表面とインサイドのある種の二面性の表情を持った表現の仕方が必要だと感じました。
 リハーサル3日目にブルックナーの第1楽章を通したとき、『音楽家はそのレベルが高くなればなるほど、演奏の水準に対する責任が重くなる』とおっしゃっていました。楽譜に書いていることをただ地図のように演奏するだけではなく、その地図から景色がお客様に伝わるよう、より一層『伝える』のことの大切さを改めて感じました。
 アイディアの引き出しが増えたり表現したいことが増えるほど考えることも多くなりますが、その中でマエストロのタクトに身を委ねて、自分がその瞬間にできる最大限の音楽を東京フィルのメンバーと奏でたいと思います」。


――シューベルト『未完成』とブルックナー交響曲第7番を一度に演奏する、今回のプログラムについて思うこと



 「個人的にですが、どちらの曲も共通してどこまでも美しく、癒し効果があり温泉にでも浸かっているような感覚になります。
 6年前にブルックナー交響曲第8番を演奏したとき、曲は素晴らしいのですが、吹く箇所が少なくて感じるものも乏しかったのですが、今回は東京フィルのメンバーが周りで演奏するのを聴いていて、その旋律の美しさに自分の中の傷が癒えていくような感覚を覚えました。特に苦しみ悲しみが浄化されるような感じです。これも年齢を少しずつ重ねたから感じることができたのだと痛感しました。
 マエストロは、『ブルックナーはオルガン奏者だったので、この曲のハーモニーでもオルガンのサウンドを意識しているはず。ただオルガンは、ハーモニーが移り変わる時にクリアに響くけど、我々オーケストラの人間によって作り出されるオルガンサウンドはハーモニーを如何に美しく繋げられるかだ。』とおっしゃっていました。人間にしか出せないその技を特に活かせる本番になるのではないかと思います」。



――ファゴットパートとしての2曲中の聞き所やこだわりたい所など

 「シューベルトの『未完成』はファゴット2本での響きももちろん大切ですが、2本だけという意識より、木管やホルン全体で痺れるハーモニーを創り上げることが多いので、全身全霊を尽くして味わいたいと思います。個人的には第2楽章のオブリガートが聴かせどころです。
 ブルックナー、前述したように実は暇なのです…笑
 私たちファゴット奏者の間では、ブルックナーの恋敵がファゴット吹きだったため、ファゴットのパートには良い思いをさせないために吹くところが少ないという説も囁かれています。ですが、本当にそれがブルックナーの目論みなら大ハズレで、この自然界や神を感じられる至福の音楽をオーケストラの中心の特等席で聴けるなんてこんなに幸せなことはありません」。



【特別記事】

 ▷ 【特別記事】1月定期演奏会の聴きどころ「コロナ禍でいっそう絆を深めたコンビの“更なる進化”、そして“独墺交響曲における唯一無二の深化」(文=柴田克彦)
 ▷ 【楽団員インタビュー】コンサートマスター 三浦章宏
 ▷ 【楽団員インタビュー】第二ヴァイオリン首席奏者 戸上眞里&藤村政芳
 ▷ 【楽団員インタビュー】ヴィオラ首席奏者 須田祥子
 ▷ 【楽団員インタビュー】チェロ首席奏者 渡邉辰紀
 ▷ 【楽団員インタビュー】コントラバス首席奏者 片岡夢児
 ▷ 【楽団員インタビュー】フルート首席奏者 神田勇哉
 ▷ 【楽団員インタビュー】オーボエ首席奏者 荒川文吉
 ▷ 【楽団員インタビュー】ホルン首席奏者 齋藤雄介、ホルン奏者 田場英子
 ▷ 【楽団員インタビュー】トランペット首席奏者 古田俊博
 ▷ 【楽団員インタビュー】ティンパニ奏者 塩田拓郎

1月定期演奏会 

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1月26日[木]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
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1月27日[金]19:00開演
サントリーホール
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1月29日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

楽曲解説(PDF)


シューベルト/交響曲第7番『未完成』
ブルックナー/交響曲第7番(ノヴァーク版)


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主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:Bunkamura(1/29公演)

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