ホーム > インフォメーション > ティンパニ奏者 塩田拓郎が語る 1月定期演奏会

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2023年1月26日(木)



――リハーサルの感想をお聞かせください。


ティンパニ奏者 塩田拓郎 ©上野隆文


 「初日リハーサルでマエストロが『ブルックナーとメシアンは信仰心が深く、彼らの音楽には祈りが込められている。』とお話してくださって、自分はブルックナーの音楽のその『祈り』に惹かれていたのだと、すとんと腑に落ちました。
 私が本格的に音楽の道を志す前からブルックナーの音楽に魅了されていました。ティンパニをはじめる前からクラシック音楽を聴くのが趣味で、特にブルックナーとワーグナーがすごく好きな作曲家でした。様々な要素が詰め込まれて展開がめまぐるしいリヒャルト・シュトラウスやマーラーの作風とは真逆に、ゆったりとした長い時間をかけて盛り上がっていき、聴いている人を深く感動させるところにたまらなく魅了されました。
 現代人は多忙なので長すぎると感じる人も多いかもしれませんが、でもそうしたゆったりとした時間の流れのなかで、じっくりその世界にひたることが好きなので、今回ブルックナーの交響曲を演奏出来て嬉しいです」。


――ブルックナーにおけるティンパニの特徴



 「本当に大事な場面において、コントラバスでもテューバでもなく、ティンパニでなければならないという重要な場面で、とても効果的に使われていると感じます。第7番のシンフォニーにおいては、特にオーケストラを引っ張っていくような強烈なリズムがあるわけではなく、曲の場面が転換するところでp(ピアノ)やpp(ピアニッシモ)での短いソロがある以外はほとんどロールのみという、一見ものすごくシンプルな使われ方ですが、非常に効果的にティンパニの音色や性質を生かした使われ方でやりがいがあります。
 第4楽章の練習番号『L』のティンパニのソロのわずか数小節後にruhig(曲想を表す標語、静かに、穏やかに)と書かれているのですが、今回のリハーサルの時に『このソロをきっかけに次のruhigの場面を作って次に繋げて欲しい』とマエストロから注文がありました。繋げ方が非常に難しくなりましたが、とても新鮮でした」。



――1月定期演奏会への期待感

 「大学2年生のときに参加したドイツでの音楽祭で初めてブルックナーの曲を演奏しました。そのときの曲も7番で、ただただ感動しながら演奏したのを覚えています。その頃は、『ブルックナーが好き』という気持ちが強すぎて、演奏できることがもう嬉しくて、つい演奏がアグレッシブになりすぎたり、曲の素晴らしさに感じ入って演奏中に泣きそうになったりしていました。
 それから20年程経って、今回久しぶりに7番を演奏します。マエストロは「自分が70歳だから、シューベルトの7番とブルックナーの7番」と冗談めかしておっしゃっていましたが、マエストロの70歳という節目の定期演奏会で、大好きなブルックナーを一緒に演奏できることが何よりも嬉しいです。
 ブルックナーの第7番では、たとえff(フォルティッシモ)であっても金管やティンパニが100%鳴らすところはごく一部に抑えて弦楽器、木管楽器とのバランスのとれた美しいサウンド感をマエストロはすごく大事にされていました。管楽器やティンパニがアグレッシブになりすぎると、ブルックナーの世界観というのは簡単に壊れてしまうので、その壮大な世界観がお客様にちゃんと伝わるよう丁寧に作り上げていきたいです」。



 Ⓒ上野隆文




【特別記事】

 ▷ 【特別記事】1月定期演奏会の聴きどころ「コロナ禍でいっそう絆を深めたコンビの“更なる進化”、そして“独墺交響曲における唯一無二の深化」(文=柴田克彦)
 ▷ 【楽団員インタビュー】コンサートマスター 三浦章宏
 ▷ 【楽団員インタビュー】第二ヴァイオリン首席奏者 戸上眞里&藤村政芳
 ▷ 【楽団員インタビュー】ヴィオラ首席奏者 須田祥子
 ▷ 【楽団員インタビュー】チェロ首席奏者 渡邉辰紀
 ▷ 【楽団員インタビュー】コントラバス首席奏者 片岡夢児
 ▷ 【楽団員インタビュー】フルート首席奏者 神田勇哉
 ▷ 【楽団員インタビュー】オーボエ首席奏者 荒川文吉
 ▷ 【楽団員インタビュー】ファゴット首席奏者 廣幡敦子
 ▷ 【楽団員インタビュー】ホルン首席奏者 齋藤雄介、ホルン奏者 田場英子
 ▷ 【楽団員インタビュー】トランペット首席奏者 古田俊博

1月定期演奏会 

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1月26日[木]19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール
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1月27日[金]19:00開演
サントリーホール
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1月29日[日]15:00開演
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

楽曲解説(PDF)


シューベルト/交響曲第7番『未完成』
ブルックナー/交響曲第7番(ノヴァーク版)


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主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:Bunkamura(1/29公演)

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