ホーム > インフォメーション > コンサートマスター 三浦章宏が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」

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2021年6月29日(火)


――マエストロ チョン・ミョンフンとのブラームスの交響曲での共演について。


コンサートマスター 三浦章宏 ©上野隆文

 「前回、2009年にマエストロチョンとブラームスの交響曲全曲をやった時は、全てコンサートマスターをやらせていただきました。12年前です。その後、マエストロとのプログラムはベートーヴェンかマーラーかという流れになりましたが、やはり回を進めるごと、年を経るごとに、マエストロの要求はますます深まってくるし、我々もこれに精一杯応えるというところで、より関係が深まってきたということがあります。
マエストロとの関係だけでなく、もちろん我々もオーケストラとして成長してきた部分があると思うので、それをマエストロとともにどこまで実現できるのか、チャレンジでもあり楽しみでもあると思っています」。

――2001年にマエストロをお迎えしてからの20年間をどんなふうに感じていますか?


©上野隆文

 「20年ずっとご一緒できる幸せ、ありがたさ、感謝です。我々オーケストラにとっても本当に幸せなことだと思っています。オーケストラメンバーは皆マエストロの素晴らしい音楽に心酔していますが、20年前を振り返ると、最初はひたすら厳しかったのです。練習も本当に厳しく、何回やっても『だめだ、だめだ』と。大変でした。それは、やはりマエストロがオーケストラのみんなにわからせたいというエネルギーがあったのと、当時、東京フィルと新星日本交響楽団の合併直後ということで、オーケストラとしてのサウンドづくりというのは、あれだけ徹底的にやってくれるマエストロがいないとなかなか難しいものでした。そういう意味で、マエストロは東京フィルの20年前からの恩人だと思います。その成果が、10年・20年と確実になってきた。私の目からはそう感じております。



2019年『第九』リハーサル風景より ©上野隆文

 初期のマエストロのリハーサルは何度やっても『だめ』という感じで、本当に厳しかったです。オーケストラは全員で音を作りますので、特に弦楽器は、みんなが、何が大事かということを共有しながら気を配って、気持ちを入れて演奏しなければいけない。音程が悪いとかいった初歩的な話ではなく、音に対する集中、感覚、もっと言えば、『魂を込める』ためにはどういう言い方をしたらいいか、ということをマエストロもずっと研究されていらっしゃると思います。我々もそれに応えたいと思っているけれど、最初はなかなかできなかった。
それがだんだんと進歩してきて、最近はまあ、怒られなくなりましたね(笑)。それでもマエストロはお世辞で褒めるようなことは絶対にしない方なので、『よかった』と仰っていただくと、素直にとても嬉しいです。そういうことが回を重ねるごとに少しずつ増えてきて、今がある。それが正直なところです」。


――過去から現在にいたるまでの写真からも、マエストロの表情の移り変わりに関係の深まりを感じます。


©上野隆文

 「音楽家として、あの昔の厳しさは今ももちろんお持ちです。音楽家としてのストイックな姿勢は本当に私たちも勉強になっていて、私自身も、音楽家としてこうあるべきという姿勢はマエストロからの影響を受けています。最近は柔らかくなってきて嬉しいというのも、それで喜んでいるわけではなく、だから『もっと』いい演奏を、『もっと』深まる演奏をという、そういう気持ちですね。昔と比べたらオーケストラが良くなったということもあるけれど、それに甘んずるわけではなく、もっと、もっと、と。
マエストロは我々に心を開いてくださっている、練習は厳しいけれども本番は一緒にやってくださる、というのが感じられて、それはとても感激です。けれど、今回はブラームスということで、全く表面的な音楽ではなく、深い、人間の心の底からの叫びや“掘り起こす”ようなサウンドが必要になってくる。マエストロのアプローチは私達もなんとなく予想はできるのですが、練習から築き上げていきたいと思っています。とにかくコロナで共演の機会が減ってしまい、待ちわびていましたので、本当に楽しみにしています」。

――2020年2月定期の『カルメン』以来ですね。

 「あの時は本当にマエストロは楽しそうでした。 ベートーヴェンやマーラーなどの厳しい音楽もやりますけれど、『カルメン』の時は、マエストロが本当にこの音楽がお好きなんだなーという感じで本当に楽しかったし、最高の音楽になりました」。



2020年2月定期オペラ演奏会形式『カルメン』 ©上野隆文



――ブラームスの音楽について三浦さんご自身のお考え、お客様へのメッセージをお願いします。

「本当にブラームスはベートーヴェンの音楽を尊敬していて 、ベートーヴェンの音楽は人間の全てを注ぎ込んだもので、それをブラームスは完全に受け継いでいます。そして、ブラームスはベートーヴェン以上にシャイだし、考える人でした。作品を作るのにも考え抜いて書かれているので、よく言われるのは、『駄作はない』と。どの曲にも彼がこめた良さがあります。人生で交響曲は4曲しか残さなかったから、考え抜かれた音楽でそこに何がこめられているかといったら、ベートーヴェンのもつ、人間の魂とか、神とか、天の声とか、色々な音楽に人のメッセージが届くものを作りたいという気持ち。ブラームスはそういうものをめざしていたんじゃないかと思います。この4曲のシンフォニー、どれも、すべてのシンフォニーのなかでもやりがいがある。大好きで、特別な作品です。さらには我々としても待望のマエストロチョンとの再会です。心の底から演奏する喜びと音楽を深く表現したいという気持ちで、弾きたいと思います。
ブラームスのサウンドは重厚で、オーケストラならではのすごい音がします。重厚な交響曲第1番につづいて2番は明るい喜びにあふれた音楽なので、お客様にはその対比もお楽しみいただけると思います」。


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7月定期演奏会

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7月1日[木]19:00開演(18:15開場)
東京オペラシティ コンサートホール
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7月2日[金]19:00開演(18:15開場)
サントリーホール
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7月4日[日]15:00開演(14:15開場)
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

― ブラームス交響曲の全て ―

ブラームス/交響曲第1番
ブラームス/交響曲第2番



9月定期演奏会

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9月16日[木]19:00開演(18:15開場)
東京オペラシティ コンサートホール
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9月17日[金]19:00開演(18:15開場)
サントリーホール
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9月19日[日]15:00開演(14:15開場)
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

― ブラームス 交響曲の全て ―

ブラームス/交響曲第3番
ブラームス/交響曲第4番





主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
   公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション(7/2,9/17公演)
   公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団(7/2,9/17公演)
   公益財団法人 花王 芸術・科学財団(7/2,9/17公演)
協力:Bunkamura(7/4,9/19公演)

公演カレンダー

       

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