ホーム > インフォメーション > フルート首席奏者 神田勇哉が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」

インフォメーション

2021年6月29日(火)


――ブラームスについて。


フルート首席奏者 神田勇哉 Ⓒ上野隆文

 「ブラームスは第1番の交響曲を悩んで悩んで、長い時間かけて書き上げました。人生において練り上げてきたものの一つが形になったものだと思います。第2番は、その長い時間の後に一気に書き上げられましたが、決して”手抜き”ではなく、ブラームスが別の側面で人生において練り上げてきたものを込めたわけです。 長く悩み続け、ようやく形になったブラームスのこれらの作品を今演奏するのは、どこか現在の、長い間ずっと堪えてきた私たちの状況にも重なるところがあるように感じます。ずっと耐えていたものが、ようやく一つの形になって流れ始める、この定期演奏会にはそのような意味があるように思うのです。

 ブラームスはピアニストでしたので、オーケストラ作品を見ても鍵盤奏者が作る音作りだと感じます。どの楽器にも同じように充実した音が与えられていて、どこかが抜けてしまうとうまく響きません。マエストロもまたピアニストですから、ブラームスが作り上げようとしていた音楽を、マエストロの言葉を借りて、いい演奏ができたらと思います」。


――7月定期の聴きどころは。

 「交響曲第1番の聴きどころ、フルートは何といっても第4楽章のソロです。 この主題にはクララ・シューマンの誕生日を祝う手紙に書かれていた「"Hoch auf’m Berg, tief im Tal, grüß ich dich viel tausendmal!"(「高い山から、深い谷から、君に何千回も挨拶しよう」)という言葉が添えられています。


第4楽章フルートソロ




 ブラームスという人はとても内気で、しかも師であるシューマンの妻クララへのいわば「禁断の思い」を抱えていた。その思いを伝える時に、単純な言葉ではなく、壮大な交響曲を書いて、言葉よりも奥深い愛をクララに伝えた。音楽だから伝わること、言葉では伝わらないことがあるのではないかと思います。 ホルンとフルートが同じメロディで呼応しますが、もしかしたらこれは、愛の告白とそれへの答えなのかもしれない。本当に雄大な山の中で、空気とともに響いている、そういう箇所です。

 第2番については、ブラームスよりも後の時代にフランスで印象派が生まれ、ドビュッシーやラヴェルが音楽で景色を作るということをしましたが、このブラームスの交響曲第2番、1楽章などはすでに風景画だと思います。
ブラームスはこの作品を、オーストリアのリゾート地、ペルチャッハという湖辺で書いたそうなのですが、景色がふわーっと広がっていて、風が吹いていて、遠くの方で水面がキラキラしていて、と、音楽からそういう景色が見える。ブラームスが一筆一筆、精密に書いた風景画の音楽をぜひ感じていただきたいと思います」。



――マエストロ チョン・ミョンフンとの演奏会について。

 「ブラームスは完璧主義者でした。自分自身が納得しない作品はどんどん破棄していたというエピソードがあります。私には、そこがマエストロチョンと重なるように思うのです。マエストロのリハーサルは厳しいですが、威圧的な厳しさではなく、マエストロの懐の深さと、東京フィルとの関係の長さといったところで良い緊張感を作り、同時に妥協を許さない音楽作りが行われています。『この人についていきたい』と思うからこそ、我々もそれに応えられるようにしっかりと準備をして臨みたいと思います」。


©上野隆文


【特集】

名誉音楽監督 チョン・ミョンフンが語る「ブラームス 交響曲の全て」
名誉音楽監督 チョン・ミョンフンとの「ブラームスの歩み」
コンサートマスター 三浦章宏が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
コンサートマスター 近藤 薫が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
コンサートマスター 依田真宣が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
第2ヴァイオリン首席奏者 戸上眞里が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
第2ヴァイオリン首席奏者 藤村政芳が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
第2ヴァイオリン首席奏者 水鳥 路が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
ヴィオラ首席奏者 須田祥子が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
ヴィオラ首席奏者 須藤三千代が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
ヴィオラ首席奏者 髙平 純が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
チェロ首席奏者 金木博幸が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
チェロ首席奏者 服部 誠が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
チェロ首席奏者 渡邉辰紀が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
コントラバス首席奏者 片岡夢児が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
コントラバス首席奏者 黒木岩寿が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
フルート首席奏者 斉藤和志が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
オーボエ首席奏者 荒川文吉が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
オーボエ首席奏者 佐竹正史が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
クラリネット首席奏者 アレッサンドロ・ベヴェラリが語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
クラリネット首席奏者 万行千秋が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
ファゴット奏者 井村裕美が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
マエストロチョン・ミョンフンとの「ブラームス 交響曲の全て」ホルン・セクションに話を聞きました。
トランペット首席奏者 川田修一が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
トロンボーン首席奏者 五箇正明が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
トロンボーン首席奏者 中西和泉が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
ティンパニ奏者 岡部亮登が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」
ティンパニ奏者 塩田拓郎が語る チョン・ミョンフン指揮「ブラームス 交響曲の全て」

7月定期演奏会

チケットを購入
7月1日[木]19:00開演(18:15開場)
東京オペラシティ コンサートホール
チケットを購入
7月2日[金]19:00開演(18:15開場)
サントリーホール
チケットを購入
7月4日[日]15:00開演(14:15開場)
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

― ブラームス交響曲の全て ―

ブラームス/交響曲第1番
ブラームス/交響曲第2番



9月定期演奏会

チケットを購入
9月16日[木]19:00開演(18:15開場)
東京オペラシティ コンサートホール
チケットを購入
9月17日[金]19:00開演(18:15開場)
サントリーホール
チケットを購入
9月19日[日]15:00開演(14:15開場)
Bunkamura オーチャードホール

指揮:チョン・ミョンフン
(東京フィル 名誉音楽監督)

― ブラームス 交響曲の全て ―

ブラームス/交響曲第3番
ブラームス/交響曲第4番





主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
   公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション(7/2,9/17公演)
   公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団(7/2,9/17公演)
   公益財団法人 花王 芸術・科学財団(7/2,9/17公演)
協力:Bunkamura(7/4,9/19公演)

公演カレンダー

東京フィルWEBチケットサービス

お電話でのチケットお申し込みは「03-5353-9522」営業時間:10:00~18:00 定休日:土・日・祝